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Led Zeppelin
“Led Zeppelin Ⅱ” (1969)
1stアルバムが予想以上の大ヒットを記録したため狂喜したレコード会社が「早く次を!」と急かして作らせ、前作から9ヶ月のインターバルで1969年10月にリリースされた2ndアルバム。
英米に渡って多忙を極めるライブ・ツアー中に、ホテルの部屋で曲を作り、ツアー先でスタジオに飛び込んでは断続的に録音を進めたという。後にジミー・ペイジはこのときの状況を「まったく、狂気沙汰だった」と振り返っている。「きっとお粗末なアルバムになるに違いない」という恐怖にも取り付かれたという。
しかしアルバムはそんな状況を逆にうまく反映したかのように、突貫の勢いと良い意味でのラフさと軽さを纏い、よりアドレナリンが噴き出すロック・アルバムとなって、初の英・米でチャート1位、1,200万枚を超える猛烈なヒットとなった。
基本的には全曲オリジナルのテイなのだが、これまた1stと同様に、歌詞がブルースからの流用だったり、曲の一部に既存のブルースをそのまま使ったりと、後に著作権侵害で訴えられて作者のクレジットを改めたりした。たぶんだけれども、彼らにとっては聖書の一部を引用するようなもので、なんのやましさも感じていなかったに違いない。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 胸いっぱいの愛を
2 強き二人の愛
3 レモン・ソング
4 サンキュー
SIDE B
1 ハートブレイカー
2 リヴィング・ラヴィング・メイド
3 ランブル・オン
4 モビー・ディック
5 ブリング・イット・オン・ホーム
A1「胸いっぱいの愛を」を初めて聴いたときはマジでビビったものだ。
「サビはどこなんだ?」とまず思ったし、そもそもこれ歌になってるか? と思ったものだった。なんだかヴォーカルは、歌うと言うよりはテキトーに叫んだりハアハア言ったりしてるだけだ。なのに曲全体としてはめちゃくちゃカッコいい。
若い頃のわたしはハード・ロックが苦手で、ツェッペリンも聴かず嫌いのところがあったのだけれども、やっぱりスゲーな彼奴らはと思った最初の曲がこれだった。
ポップスは基本的に「歌」がメインで、バックは「伴奏」程度の扱いだけれども、こっちはその伴奏の方がメインのようだ。
ギターを中心にバンド全体が一体となってドライヴするようなグルーヴ感がたまらない。
それが「歌」を聴くためのポップスとは根本的に違う、ロックという音楽のオリジナリティでもあり、カッコ良さでもあるのだなと初めて理解したものだ。
ビートルズのデビュー・シングル「ラヴ・ミー・ドゥ」から始まった60年代英国ロックが、60年代が終わろうとする頃にはここまで進化したんだなあと感慨深いものがある。
そして60年代の終わりとともにビートルズの時代は終わり、彼奴らの時代が始まったのだ。
↓ シングルとしても全米4位の大ヒットとなった代表曲「胸いっぱいの愛を」。
↓ 「胸いっぱいの愛を」と並んで本作では最も有名な曲「ハートブレイカー」。
(Goro)