1966年にL.A.で結成、そして68年に解散と、実質的な活動は2年半でアルバムは2枚と、解散後に編集された未発表曲集が1枚のみ。
商業的には大きな成功を得られなかったものの、才能あふれる個性の強いメンバーの競い合いやぶつかり合いによる、フォーク・ロック、ブリティッシュ・ビート、サイケデリック、プログレ、カントリー・ロックなどの多様な方向性は、当時の英米の最先端のロックを消化・吸収して生まれた、時代を象徴するバンドとなった。
また、ニール・ヤング、スティーヴン・スティルス(後にクロスビー、スティルス&ナッシュを結成)、リッチー・フューレイ(後にポコを結成)が在籍したことでもロック・ファンの記憶に刻まれ、伝説的なスーパー・グループとしてロック史に名を残した。
しかし、バンド内の人間関係は最悪だったという。特にヤングとスティルスは、どちらも主導権を握りたがって対立した。
解散したのはメンバー間の不仲に加えて、ドラッグによるメンバーの逮捕なども原因となったが、その後のニール・ヤングやクロスビー・スティルス&ナッシュ、ポコの成功を見れば、喧嘩したり仲直りしながらグズグズと続けるよりはまあ早めに解散して良かったのだろうとわたしは思う。
以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきバッファロー・スプリングフィールドの至極の名曲5選です。
For What It’s Worth
1st『バッファロー・スプリングフィールド』からのシングルで、全米7位のヒットとなったブレイク作。彼らのシングルで全米TOP10に入ったのはこの1曲だけだ。
「風紀が乱れている」としてロサンゼルス市が発令した夜間外出禁止令に対して抗議する、1000人規模の若者のデモ隊と警官隊が衝突するという事件を間近に見て触発されたスティーヴン・スティルスが書いた曲。リード・ヴォーカルもスティルスだ。
Mr. Soul
名盤2nd『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』のオープニング・トラック。
ニール・ヤングの作で、彼がリード・ヴォーカル、リード・ギターを務めている。ギターのリフはローリング・ストーンズの「サティスファクション」をパクった意識したのだろう。
Bluebird
2nd『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』からのシングルで全米58位。スティーヴン・スティルスの作だ。
4分半の中にフォーク・ロック、プログレ、サイケ、カントリー、ハードなギター・プレイなど様々な要素が凝縮された、バッファローの音楽の先進性を象徴するような代表曲だ。
Broken Arrow
2nd『バッファロー・スプリングフィールド・アゲイン』のラストを飾る、ニール・ヤングの作。わたしはバッファローの中ではこの曲がいちばん好きだ。
ビートルズのライヴの歓声を借用したSEから始まるこの曲は、意外な展開の実験性や遊び心と、メロディの抒情性とが程よいバランスで成立している名曲だ。
Kind Woman
実質的にグループはすでに解散していたが、レーベルとの契約義務を果たすためにリッチー・フューレイとジム・メッシーナが未発表音源などをかき集めて制作した3rdアルバム『ラスト・タイム・アラウンド』のラストを飾る曲。
リッチー・フューレイの作で、リード・ヴォーカルも彼自身だ。彼はその後、カントリー・ロック・バンド、ポコを結成するが、この曲はポコでも演奏され、彼の全キャリアを通じて最も有名な曲となっている。
入門用には『ベスト・オブ・バッファロー・スプリングフィール』がお薦め。最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されています。
(Goro)