さて、半年間にわたってストーンズの60年を聴き倒してきましたが、その総括の意味も込めて今回は、ストーンズの全オリジナル・スタジオ・アルバムの中から、ベストテンを選んでみました。
そしてついでに、各アルバムの収録曲から、わたしのベスト3曲も選んでみました。
※【ストーンズの60年を聴き倒す】と同様、英国盤のみから選んでいます。
The Rolling Stones No.2 (1965)
英国アルバムチャート10週連続1位となる大ヒットを記録した2ndアルバム。こんな非商業主義的な、黒光りするブルースとR&Bのかたまりが、若者たちを夢中にさせていたのだ。なんだか信じられないぐらい凄い時代だ。
①アイ・キャント・ビー・サティスファイド
②オフ・ザ・フック
③タイム・イズ・オン・マイ・サイド
Out Of Our Heads (1965)
全英2位となった3rdアルバム。ディープなサザン・ソウルへの傾倒が見られるカバー曲の表現の豊かさ、オリジナル曲のクオリティの高さや音楽的な新しさなど、前2作から大きく成長した印象の傑作だ。
①マーシー・マーシー
②ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ
③ハート・オブ・ストーン
The Rolling Stones (1964)
米国の地で熟成されたブルースを、若々しい疾走感と英国らしいポップな解釈で新鮮に表現した、激シブでありながら躍動感あふれる1stアルバム。この時代のストーンズの、バンドが一体となって突進するようなアグレッシヴなサウンドが大好きだ。その後のブリティッシュ・ロックの礎となった超クールな歴史的名盤。
①ルート66
②キャロル
③ウォーキング・ザ・ドッグ
Black And Blue (1976)
ファンクやレゲエ、AOR風のバラードからジャズ風のナンバーまで、当時のブラック・コンテンポラリーに挑戦した、たった8曲の収録ながら濃厚芳醇で満足度の高い傑作アルバム。ミック・テイラーが脱退し、ロン・ウッドが参加した最初のアルバムだった。
①クレイジー・ママ
②メモリー・モーテル
③ホット・スタッフ
It’s Only Rock’n Roll (1974)
ミックとキースによる”グリマー・ツインズ”の初のプロデュース作。
時代はちょうどグラム・ロックとパンク・ロック・ムーヴメントの間ぐらいで、時代の流れに敏感なストーンズがそれを察知したかのように、ロックンロールへと回帰した傑作だ。
①タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン
②快楽の奴隷
③イッツ・オンリー・ロックンロール
Goats Head Soup (1973)
ストーンズの黄金時代を支えた名プロデューサー、ジミー・ミラーによる最後のプロデュース作。アルバム全体にポップな彩が増し、前作までのディープなルーツ・ミュージックの要素は後退している。
当時最新のソウルやファンクはもちろん、グラム・ロック風の猥雑なロックンロール、シンガー・ソングライター風の抒情的なアコースティック・バラードまで、当時のシーンの流行を片っ端からストーンズ流に料理したかのようなバラエティに富んだ傑作だ。
①スター・スター
②悲しみのアンジー
③ウインター
Let It Bleed (1969)
60年代を締めくくった、攻撃的な名曲と刺激的な名曲と激シブの名曲だけで構成された恐るべき名盤。ジミー・ミラーによるプロデュース2作目で、ディープかつ独創的な世界観を創り上げた。初期のストーンズはブルース・R&Bと黒人音楽一辺倒だったが、この時代からカントリーの要素も入り、さらに音楽性が広がりを見せるようになる。ブライアン・ジョーンズ最後の参加作品。
①ギミー・シェルター
②リヴ・ウィズ・ミー
③ユー・ガット・ザ・シルヴァー
Exile On Main St. (1972)
プロデューサーのジミー・ミラーをはじめとするスタッフとバンドがキース・リチャーズ邸に機材を持ち込み、合宿のように泊まり込んで制作された傑作。
そのような環境で録音された2枚組LPの本作は商売っ気もなければ、芸術的な完成度にこだわるわけでもない、ラフでルーズな、飾らない素のままのストーンズをあえて晒したような、無骨な生々しさがその魅力だ。
①スウィート・ヴァージニア
②ダイスをころがせ
③ラヴィング・カップ
Sticky Fingers (1971)
ローリング・ストーンズ・レコード設立第1弾となった、ストーンズの絶頂期を象徴する名盤。ブルースやカントリーといったルーツ・ミュージックをさらに深掘りしながらも、ジャガー/リチャーズによるソングライティングはここに極まり、キャッチーでバラエティに富んだ完成度の高い楽曲が並ぶ。
プロデューサーは3作連続となるジミー・ミラー、さらにミック・テイラーという若き天才ギタリストと、ボビー・キーズというストーンズにぴったりのサックス吹きまで加わったのだから、もはや敵なしの最強布陣である。
①デッド・フラワーズ
②スウェイ
③ブラウン・シュガー
Beggars Banquet (1968)
ジミー・ミラーのプロデュース第1弾。60年代中期から迷走を続けていたストーンズの方向性を決定づけた突然変異の最高傑作。
ルーツ・ミュージックの深遠な世界と、1968年という燃え上がるようなカウンター・カルチャーの時代を繋ぎ、あえて汚い音で作られた、リアルな凶々しさにヒリヒリする、強烈に獰猛な匂いを放つ音楽だ。まさにロック史を変えた、革命的な名盤。
①悪魔を憐れむ歌
②地の塩
③ストリート・ファイティング・マン
以上、わたしのストーンズ名盤ベストテンでした。
最初期のブルース/R&Bアルバム3枚と、ジミー・ミラーのプロデュース時代に極端に偏ったベストテンとなってしまったが、もちろんひねらず、奇を衒ったりせず、どストレートに選んだつもりだ。
初期のブライアンが牽引していたブルース・バンド時代、そしてミック・テイラーがいた時代、やはりわたしはこの二つの時代のストーンズが一番好きだということなのだろう。
もちろん、他の時代のストーンズが嫌いなわけではないのだが、結果的にロン・ウッド加入後のアルバムが一枚も選べなかったことは申し訳ない気持ちでいっぱいだ。決して彼のせいではない!
(Goro)