Suede
“Suede” (1993)
当時はそれほどとも思わなかったが、今見るとなかなかのジャケットだな、これは。
大らかな時代だったんだなあ、あの頃は。
1993年3月にリリースされた、スウェードの1stアルバムだ。アルバムジャケットは、彼らの歌の世界観をわかりやすく表現したものと言える。
たしかにブレット・アンダーソンの書く歌詞の世界は異端のワイルドサイドかもしれないけれども、わたしは当時「久々に英国正統派バンドが出てきたわさ!」と思ったものだった。
ニルヴァーナのブレイクで米国のオルタナティヴ・ロックの一大旋風が当時の英国にも吹き荒れていた。英国ロック・シーンはマンチェスター・ムーヴメントもシューゲイザーも絶賛衰退中で、このスウェードの登場は、久々の英国ロックの救世主として大注目を集めていたのだ。
英国伝統のポップで艶のあるメロディ、バーナード・バトラーの弾くグラム・ロックのような華とキレのあるギター、ダークで耽美的な世界、さらにはザ・スミスのような社会不適合者の内向性をも併せ持つ、英国名物のアラカルトみたいなのが出てきたわさ!という驚きと歓迎だった。
【オリジナルCD収録曲】
1 ソー・ヤング
2 アニマル・ナイトレイト
3 シーズ・ノット・デット
4 ムーヴィング
5 パントマイム・ホース
6 マイ・インセイシャブル・ワン(ピアノ・バージョン)
7 ザ・ドラウナーズ
8 スリーピング・ピルズ
9 ブレイクダウン
10 メタル・ミッキー
11 アニマル・ラヴァー
12 ザ・ネクスト・ライフ
1stシングルとなった衝撃の「ザ・ドラウナーズ」、そして「メタル・ミッキー」(全英17位)、「アニマル・ナイトレイト」(同7位)、「ソー・ヤング」(同17位)とシングル・ヒットを連発し、当然ごとく、アルバムは全英1位を獲得した。イギリスでは伝統的に、アルバムに先駆けてヒットしたシングル曲をアルバムに収録しないことがよくあるけれども、しっかり全部入れてくれて良かったと思う。入れていなければずいぶん印象も評価も違っていただろう。
ちなみに「ザ・ドラウナーズ」は兄と弟の近親相おカマの歌だし、「アニマル・ナイトレイト」は父親に性的虐待を受ける少年の歌で「吐き気を催すほどの笑顔で”俺のベッドに招待する”とアイツは言った」などと歌われている。
ダークな世界観に反してそのポップかつクオリティの高い楽曲は、インディー・バンドにありがちな発展途上の未完成さや反商業主義的な難解さもなく、逆にあっけらかんとした開放感を感じさせるものだった。
そんな彼らの登場が、「ブリット・ポップ」という新たなムーヴメントの扉を開いたのだった。
↓ 全英17位のヒットとなった2ndシングル「メタル・ミッキー」。
↓ 全英7位と初のトップ10入りを果たした3rdシングル「アニマル・ナイトレイト」。
(Goro)


