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The Stooges
“The Stooges” (1969)
キッタねえギターの音!
カエルを踏み潰しながら歩いてるみたいだ。
たぶん本作を初めて聴いたら、「なんちゅーカッコいいバンドだっ!」ってシビれる人と、
「どこがどうイイのかぜんっぜんわからん!」という人にはっきりわかれるはずだ。
幸か不幸かわたしは前者だったが、逆にわたしにとっては「どこがどういいのかぜんっぜんわからん…」という大ヒット曲や名盤と評されるアルバムも世の中には数多く存在する。
まあ、お互い様だ。
しかし好みの違いとはいえ、この真逆の違いはなんなのだろうと不思議にもなる。
同じ人間なのに。
同じ物質と構造でできている肉体で聞いてるはずなのに。
まあ、なんとなくのイメージからすると、こういうバンドを好きなわれわれのほうが、より原始人に近いという気はしないでもない。
そう思ってみるとなんとなく、原始の興奮が呼び覚まされるような気分にもなるアルバムだ。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 1969
2 アイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグ
3 ウィ・ウィル・フォール
4 ノー・ファン
SIDE B
1 リアル・クール・タイム
2 アン
3 ノット・ライト
4 リトル・ドール
当時のローリング・ストーン誌のライター、エドモンド・O・ワードは「うるさい、退屈、趣味が悪い、想像力に欠け、子供っぽい」と評したが、「ちょっと好きだ」と認めた。
わたしもその評価にほぼ賛同する。異なるのはわたしの場合は「ちょっと好きだ」ではなく、「だいぶ好きだ」だし、「うるさい、趣味が悪い、子供っぽい」はすべて褒め言葉と捉えている。なぜなら、それこそがロックだからだ。
「退屈で、想像力に欠けている」ように聴こえるのはきっと、芸術性もエンターテインメント性もまるでなく、ただリアルなノイズと不平不満に溢れた原始的な音楽だからだと思う。
彼らは子供たちに大人気の動物園のパンダではなく、動物園から脱走した飢えた狼の群れのようなものなのだ。
1969年8月にリリースされた本作は、ザ・ストゥージズの1stアルバムだ。
しかし全米アルバムチャート最高位106位とあまり売れず、1年後にはレコード会社からクビを切られるが、彼らの登場の衝撃波は、その後何十年にも渡ってロックシーンに影響を及ぼしたのである。
↓ アルバムの冒頭を飾る「1969」。ロン・アシュトンの野蛮で気違いじみたギターが素晴らしい。
↓ ストゥージズの代表曲として知られる「アイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグ」。
(Goro)