伝説のカッティング王の衝撃のキレ味 〜ザ・パイレーツ『アウト・オブ・ゼア・スカルズ』(1977)【最強ロック名盤500】#246

The Pirates Out Of Their Skulls UK vinyl LP album (LP record) (445247)

⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#246
The Pirates
“Out of Their Skulls” (1977)

忘れもしない、とある雑誌にミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケのインビュー記事が載っていて、彼が選んだ「マニアックだけど必聴の10枚」というアルバムの中に、ドクター・フィールグッドやエディ&ザ・ホット・ロッズなどのパブ・ロック勢と一緒に本作を挙げていたのだ。

彼が挙げていたアルバムはわたしも好きなものばかりだったけれども、このザ・パイレーツというバンドだけわたしは聴いたことがなかったので、気になって早速聴いてみたのだった。

一聴しただけで、ぶっ飛んだ。くっそカッコええ。正直、ドクター・フィールグッドさえ霞んでしまうほどの、強烈なアルバムだ。

1959年にデビューしたイギリスのバンド、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツは、ロックンロール旋風吹き荒れてるアメリカの向こうを張って、いくつかのヒット曲を放った、ビートルズ以前の英国最初期のロックンロール・バンドである。

代表曲は、ザ・フーのカバーでも知られる「シェイキン・オール・オーヴァー」(1960)で、全英1位を獲得した。しかし、ビートルズやストーンズがデビューすると、彼らに追いやられるようにしてヒットから遠ざかった。そして1966年、フロントマンのジョニー・キッドが交通事故死するという悲劇に見舞われ、バンドは解散してしまう。

それから10年を経た1976年、ギターのミック・グリーン、ヴォーカル&ベースのジョニー・スペンス、ドラムのフランク・ファーレイが再結集し、ザ・パイレーツとして1977年10月にリリースしたのが本作である。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A (ライヴ録音)

1 Please Don’t Touch
2 I Can Tell
3 Peter Gunn
4 Lonesome Train
5 Shakin’ All Over
6 Milk Cow Blues

SIDE B (スタジオ録音)

1 Drinkin’ Wine Spo’ De’ O’ D
2 Do The Dog
3 Gibson Martin Fender
4 Don’t München It
5 That’s The Way You Are
6 You Don’t Own Me

You Don't Own Me — The Pirates | Last.fmThe Pirates

とにかく「最強」という以外に言葉が見つからない、強烈な演奏だ。ひとりでリズムを刻みソロも弾くギタリスト、ミック・グリーンの尋常じゃないキレ味のカッティングと凄まじくカッコいいソロ、ムショ帰りみたいな凶悪なしゃがれ声のヴォーカル、機械のように正確なのに「ぶっ叩く」という表現が相応しい猛烈なドラム。すべてが衝撃でしかない。

ドクター・フィールグッドの初代ギタリスト、ウィルコ・ジョンソンは、このミック・グリーンに影響を受け、そのスタイルを引き継いでいる。そもそも「ドクター・フィールグッド」というバンド名も、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツが1964年に発表した曲のタイトルをそのまま拝借しているのだ。

ウィルコ・ジョンソンとミック・グリーンは曲の共作もしていて、それらの曲はドクター・フィールグッドの初期のアルバムに収録されている。

ザ・パイレーツはこの後も3枚のアルバムをリリースし、精力的にツアーを行ったが、80年代中頃には解散してまう。ミック・グリーンはその後、ヴァン・モリソンのバンドで定期的に演奏し、ザ・パイレーツも単発でライヴを行うなどしていたが、2010年に心不全で死去した。65歳だった。R.I.P.

わたしは「好きなギタリスト」を挙げるときにウィルコ・ジョンソンの名前をよく挙げるけれども、これからはミック・グリーンの名前も忘れずに挙げないとなと思ったりする、今日この頃である。

↓ 雷鳴に続いて始まる、ライヴ録音の強烈なオープニング・トラック「Please don’t touch」。

↓ スタジオ録音でもやっぱり強烈な演奏「Don’t München It」。

(Goro)

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