The Knack
My Sharona (1979)
ちょうどわたしが中学に上がり、ラジオの洋楽チャート番組を聴くようになった頃に日本でも大ヒットした。あの、一度聴いたら忘れられないリフが耳にこびりついて離れなかった。
全米1位、全英6位、日本のオリコン総合チャートでも邦楽に混じって最高26位まで上昇した。
あわてものの評論家たちは「現代のビートルズ!」などと絶賛したものの、さすがにそうはならなかった。ザ・ナックはこの1曲だけをロック史に刻み、ロック史上に燦然と輝く一発屋となったのだ。
しかし、その後もアメリカ映画『リアリティ・バイツ』の主題歌に使用されたり、日本ではマツダのファミリアのCMに使用され、21世紀以降では『アメトーーク』の使用曲として定着し、若者や子供たちにもお馴染みの曲になったものだった。
その意味で彼らはただの一発屋ではない。何十年にも渡って一発の大輪の花火が消えずに輝いている、永遠の一発屋だ。
そもそもロックバンドなんて、運よくレコード・デビューしたとしても、1発も打ち上げられずに消えていくのがほとんどだ。
ザ・ナックがロック史に刻み込んだ「マイ・シャローナ」は唯一無二のオリジナリティを持ち、何十年にも渡る酷使にも耐え抜いてきた、本物の神曲だ。
ちなみにこの曲はバンドのヴォーカリストでソングライターでもある当時27歳のダグ・フィーガーが、実際に恋した17歳の少女、シャローナ・アルペリンにインスパイアされて書いた曲だった。
彼女は当時ロサンゼルスのブティック店員だったのだが、曲が大ヒットしたことで「実在のミューズ」として知られるようになったという。
そのフィーガーは後に「僕は彼女に一目惚れだった。歌詞は僕のシャローナへの欲望そのままだった」(ガーディアン紙インタビュー 2005年)などと、ちょっとキモいことを語っている。
(Goro)