The Animals
Don’t Let Me Be Misunderstood (1965)
1960年代、ブリティッシュ・ビート・バンドたちは、白人の若者でありながら、いかに黒人のように歌えるかを競い合っていた。その意味ではミック・ジャガー以上と評価されていたのがこのアニマルズのエリック・バードンだった。
この曲はベニー・ベンジャミン、グロリア・コールドウェル、ソル・マーカスが共作し、ニーナ・シモンが1964年に録音した。
ニーナ・シモン版はオーケストラをバックにしたスローテンポのバラードだったが、それをアップテンポにして、オルガンのリフを入れ、R&B風にしたバージョンをアニマルズが翌1965年1月にリリースした。
「朝日のあたる家」もそうだが、こういうカバーをやらせるとアニマルズは滅法上手い。
サム・クックの「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥー・ミー」やジョン・リー・フッカーの「ブーン・ブーン」などのカバーもまた素晴らしい出来だった。
60年代前半までのアニマルズは、ストーンズ、ビートルズ、キンクスなどと並んでブリティッシュ・ビート・バンドの代表格だったが、しかしこの年あたりからカバーではなく、オリジナル曲が求められる時代になり、ソングライターのいないアニマルズは致命的な後れをとることになる。
68年にはアメリカへ渡ってサイケデリック・ロックのバンドとして活動するものの続かず、翌年には解散してしまった。
日本では、尾藤イサオが1965年にこの曲を日本語でカバーして大ヒットした。
そのイメージが強いからというだけでなく、なんとなくこの曲には歌謡曲風のねちっこい感じがあると感じるのはわたしだけだろうか。
それとも、みんな尾藤イサオのせいなのか。
↓ 全英3位・全米15位のヒットとなったアニマルズのバージョン。
↓ 1964年にリリースされたニーナ・シモンによるオリジナル・バージョン。チャート入りはしなかった。
↓ 尾藤イサオによる日本語カバー。東芝ヒット賞を受賞した。
↓ 1977年にはサンタ・エスメラルダのディスコ・バージョンが全米15位の大ヒットとなった。
↓ エルヴィス・コステロも1986年のアルバム『キング・オブ・アメリカ』でカバーし、シングル・カットもしている。全英33位。
(Goro)