Supergrass
“I Should Coco” (1995)
スーパーグラスは、英オックスフォード出身のバンドだ。もう、大人気だった。
シングル「コウト・バイ・ザ・ファズ」で1994年10月にメジャー・デビューしたとき、ヴォーカル&ギターのギャズ・クームスは18歳、ベースのダニー・ゴフィーは20歳、ドラムのミック・クインは24歳という若い3人組だった。
わたしは当時28歳で、1歳年下のノエル・ギャラガーや2歳年下のデーモン・アルバーンぐらいまでは「同世代」と感じていたけれど、さすがに10歳も年下のギャズ・クームスはそうは思えなかった。
ついに次の世代が出て来たなあと、急にオッサンになったような気分になったものだ。
彼らを皮切りにその後続々と出てきたブリット・ポップの若いバンドたちも明らかにわたしよりずっと若い世代であって、これでもうわたしも新しいロックを聴いてもピンと来なくなるのかなあ、と淋しく思ったものだった。
実際スーパーグラスなんて、わたしが好きなはずのパンク風のスタイルなのに、なぜか心からアツくはなれなかったのだ。本作も1回か2回聴いただけで、CDラックにしまい込み、その存在すら忘れていた。
しかし今回、まとめてブリット・ポップ期のアーティストたちの曲を聴き返してみると、あらためてずいぶん楽しく聴けた。当時はピンと来なかった曲やアルバムがなぜか30年の時空を超えてピンと来たり、楽しく聴けるのが不思議な気分だった。
それはノスタルジアもあるのかもしれないけれども、若い頃の10歳の差に感じたジェネレーション・ギャップも、オッサンになってからの10歳差なら、たいして気にもならなくなったからなのかもしれない。20歳と10歳では話し相手にもならないけれども、60歳と50歳ならもう同じオッサン同士で酒を酌み交わして語り合えるようなものかもしれない。
本作は1995年5月にリリースされた、スーパーグラスの1stアルバムだ。
【オリジナルCD収録曲】
1 アイド・ライク・トゥ・ノウ
2 コウト・バイ・ザ・ファズ
3 マンサイズ・ルースター
4 オールライト
5 ルーズ・イット
6 レニー
7 ストレンジ・ワンズ
8 シィッティング・アップ・ストレイト
9 シーズ・ソー・ルーズ
10 ウイ・アー・ノット・サポースト・トゥ
11 タイム
12 ソファ(オブ・マイ・レザジー)
13 タイム・トゥ・ゴー
めちゃくちゃ楽しい。
こんな良いアルバムだっけ?とあらためて驚いた。うるさい曲も、速い曲も、ポップな曲も、スローな曲も、全部よく書けてる。バンドの正式メンバーではないが、ギャスの4つ年上の兄のロブ・クームスが弾いているキーボードも重要な効果をあげている。
いかにも若者らしい、初期衝動のエネルギーが爆発した、闇雲な疾走感を感じたことは憶えていたけれども、こんなに曲が良かったことは、正直気づいていなかった。きっと当時のわたしは、子供向けみたいなアルバム・ジャケットや、そもそも10歳も年下のガキなんてと初めからバカにして、曲をちゃんと聴こうとしていなかったのだろう。恥ずかしい限りだ。どっちがバカかわからない。
パンク、グラム・ロック、60年代ブリティッシュ・ビートやサイケデリックをミックスした楽曲はブリット・ポップの良い方の見本と言える。アルバムは全英1位となり、50万枚を売って、商業的にも大成功となった。
↓ デビュー・シングルとなった「コウト・バイ・ザ・ファズ」は「警察に捕まった」という意味らしい。ギャズが10代の頃、実際に大麻所持で警察に補導された実体験に基づいている。その時の焦燥感と母親への申し訳なさを歌っているそうだ。
↓ 全英2位の大ヒットとなった「オールライト」。このMVを見たスティーヴン・スピルバーグが彼らに「モンキーズのようなテレビ番組を作らないか」と持ちかけてきたが、断ったそうだ。
(Goro)


