米ニューヨーク出身、小学校時代からの同級生で親友だったポール・サイモンとアート・ガーファンクルは1957年、16歳でロックンロール・バンドを結成してデビューし、ローカルなヒット曲も放った。
その後、大学を卒業すると、1964年にフォーク・デュオとして再デビューする。
天才的なソングライター、ポール・サイモンの書く抒情的なメロディと、ガーファンクルの「天使の歌声」とも形容された透明感のあるハイトーン・ヴォイス、そして2人の息の合ったハーモニーを武器に、1stアルバム『水曜の朝、午前3時(Wednesday Morning, 3 A.M.)』を1964年10月にリリースした。
しかしちょうどフォーク人気が下火となっていた頃で、アルバムはまったく売れずに即解散となり、ガーファンクルは大学院へ戻り、サイモンはイギリスで活動を模索するため渡英する。
しかし翌年、1stアルバムに収録されていた「サウンド・オブ・サイレンス」がラジオで流れると、その文学的な歌詞も話題を呼んで大学生たちのあいだで火が点いた。プロデューサーを務めたトム・ウィルソンが、弾き語りのみだったオリジナルにドラムやベースなどを足してシングル・カットするとあっという間に全米1位の大ヒットとなった。
イギリスにいたサイモンはレコード会社から急遽呼び戻され、ガーファンクルと共に活動を再開した。そして、その後も順調にヒット曲を放ち、大ヒット映画『卒業』で複数の楽曲が使用されたことによって、さらに世界的な人気へと広がった。
日本でもオリコンチャート1位を獲得するなど、当時の彼らの成功は、同い年のボブ・ディランを大きく上回るほどのものだった。
彼らの音楽の独特の美しさ、清楚な抒情性、詩的な歌詞は比類がなく、日本で大きな人気を獲得したのも当然と言える。
以下はわたしがお薦めする、最初に聴くべきサイモン&ガーファンクルの至極の名曲5選です。
The Sound of Silence(1965)
上記のような経緯で1965年に全米1位の大ヒットとなった、彼らのブレイク作。
映画『卒業』でも使用されて世界的な人気を博した、彼らの代表曲だ。
メロディと2人のハーモニーの美しさがより際立つオリジナル・バージョンで。
Scarborough Fair/Canticle(1968)
3rdアルバム『パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム』からのシングルで、全米11位のヒットとなった。
アルバムタイトルは、この曲に出てくる謎めいたリフレインで、ハーブの名前を列挙した、一種のおまじないのようなものらしい。
なんとも美しいメロディのこの曲は彼らのオリジナルではなく、イギリス民謡をアレンジしたものだ。
Mrs. Robinson(1968)
映画『卒業』のために書かれた曲で、全米1位、全英4位の大ヒットとなった。
イントロのギターのカッコ良さも印象的なこの曲は、この年のグラミー賞最優秀シングル賞を受賞した。
The Boxer(1969)
1969年にシングルとしてリリースされた曲で、全米7位、全英6位のヒットとなった。
彼らが初めて16トラック多重録音でレコーディングしたもので、100時間以上をかけて凝りに凝ったサウンドが創り上げられている。
Bridge over Troubled Water(1970)
5thアルバム『明日に架ける橋』のタイトル曲で、シングルが全米1位、全英1位と大ヒットした。サイモンがゴスペルに影響を受けて作った歌で、ヴォーカルはガーファンクルがひとりで歌っている。
スケールの大きな素晴らしい曲だけれども、しかし後半の、橋を爆破したのかと思うほど大げさなアレンジはちょっとどうかなと昔から思っている。
入門用にサイモン&ガーファンクルのアルバムを最初に聴くなら、『グレイテスト・ヒッツ』がお薦め。廉価ながら、最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されています。
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♪プレイリスト⇒はじめてのサイモン&ガーファンクル【必聴名曲5選】はこちら
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(Goro)