Rod Stewart
Maggie May (1971)
60年代後半からジェフ・ベック・グループやフェイセズを渡り歩いた後にソロ活動を開始したロッド・スチュワートの、1971年5月にリリース3rdアルバム『エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』からのシングル。
当初シングル・カットされたのはアルバムの最後を飾る「リーズン・トゥ・ビリーヴ」で、「マギー・メイ」はそのB面として発売された。しかしラジオのDJ達は、「マギー・メイ」のほうを気に入ってかけまくり、全英・全米のシングル・チャートで共に1位を獲得する大ヒットとなった。
A面曲よりB面曲が注目を集めて大ヒットしたのは、エルトン・ジョンの「僕の歌は君の歌」や小林幸子の「おもいで酒」やダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」と同じパターンである。ちょっとどれも古くて申し訳ないけれども。
昔はこういう、良い曲を発掘する耳と音楽へのこだわりを持ったラジオDJたちがたくさんいたんだなあ、と思う。今はそんな話はあまり聞かない。
歌詞は、長い夏休みを年上の女性の家で過ごした男子学生が、そろそろ彼女の家を出て学校に戻るよ、と告げるものの心底は未練たらたら、という内容だ。
ロッド本人は「なぜこの曲があれほど大ヒットしたのかわからない。メロディが無いのに」と語っているらしい。それまでロックンロールバンドで活動してきた彼にとっては異質な曲だったのかもしれない。
このシンプルなフォークソング風の曲は、マンドリンとアコースティック・ギターの音色が美しく、生き生きとしたドラムのビートに乗せたロッドのしゃがれ声と絶妙な組み合わせになっている。
大人の世界に足を踏み入れたばかりの少年の心情をリアルに歌った歌詞と相まって、なんだかすごく可愛らしい歌だとわたしは思っている。
ロッドは自分ではわからなかったのだろうが、ヒットした理由はきっと、可愛らしいからだ。
「マギー・メイ」の大ヒットに引っ張られ、アルバム『エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』も全英・全米チャートの両方で1位となる快挙を成し遂げた。
↓ もともとはA面だった「リーズン・トゥ・ビリーヴ」もわたしは好きだ。
(Goro)