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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#359
Ocean Colour Scene
“Moseley Shoals” (1996)
英バーミンガム出身のオーシャン・カラー・シーンは、1992年に1stアルバムを録音したものの、レーベルの意向で無理やりシューゲイザー風にミックスされ、しかもそれがまったく売れず、莫大な借金を背負ってしまう。
そんな、どん底にいた彼らに手を差し伸べたのが、ポール・ウェラーとノエル・ギャラガーだった。
オーシャン・カラー・シーンのギタリスト、スティーヴ・クラドックの才能に惚れ込んだポール・ウェラーは自身のツアーに起用し、ノエル・ギャラガーはバンドをオアシスのツアーに帯同させ「最高のサポート・バンドだ」とコメントしたことで注目を集めることになった。
デビューから4年間はそんなふうに先輩と後輩に助けられて糊口をしのぎ、1996年4月にようやく2ndアルバムとなる本作をリリースすると、ブリット・ポップ・ムーヴメント真っただ中というタイミングもよかったのか全英2位まで上昇、100万枚を売る大ヒットとなり、劇的な復活を遂げた。
この大ヒットは、アルバムのオープニング・トラックである「ザ・リヴァーボート・ソング」を気に入ったBBCラジオのDJが、繰り返しオンエアしたことがきっかけになったという。シングルとしても全英15位のヒットとなり、これをきっかけに彼らはヒットを連発することになる。
【オリジナルCD収録曲】カッコ内は全英シングルチャートの順位。
1 ザ・リヴァーボート・ソング(15位)
2 ザ・デイ・ウィ・コート・ザ・トレイン(4位)
3 ザ・サークル(6位)
4 ライニング・ユア・ポケッツ
5 フリーティング・マインド
6 40パスト・ミッドナイト
7 ワン・フォー・ザ・ロード
8 イッツ・マイ・シャドウ
9 ポリスメン・アンド・パイレーツ
10 ザ・ダウンストリーム
11 ユーヴ・ガット・イット・バッド(7位)
12 ゲット・アウェイ
彼らは自分たちでスタジオを作って活動の拠点とし、本作もその「自分たちの城」で納得いくまでセッションを繰り返したことで、1stの失敗を乗り越え、時代を超えたクラシックなロック・サウンドを生み出すことができた。
アルバム・タイトルは、米国のソウル・ミュージックの数々の名作を生んだアラバマ州の伝説的スタジオ「マッスル・ショールズ」に、バンドの地元であるバーミンガム地区の「モーズリー」を掛けたものである。
当時のわたしは残念なことに、彼らの名前ぐらいは知っていたのだけど、「ああ、またブリット・ポップちゃんか」と辟易した感じで、素通りしてしまった。それから四半世紀を過ぎた頃にようやくちゃんと聴いて、そのときのBBCのDJとたぶん同じ気持ちになったのだ。
「なんてこった、こんなバンドがいたとは!」
まるで60年代末頃のブリティッシュ・ロックを思わせる、
アルバムのそこかしこから、1968年頃のビートルズやストーンズ、スモール・フェイセズやザ・フーなどを想起させるメロディやサウンドが聴こえてくる。ブリット・ポップ・ブームを賑わせていた勢いだけの若いドングリやタケノコたちとはちょっと次元の違うカッコ良さだった。職人気質に練り上げられた、ロック、そしてソウルである。
彼らに手を差し伸べたポール・ウェラーは次のように語った。
「彼らの音楽には、今のバンドが忘れてしまった”スウィング”がある。スティーヴは、僕が出会った中で最も優れたギタリストの一人だ」(モジョ誌インタビュー)
↓ ブレイクのきっかけとなったオープニング・トラック「ザ・リヴァーボート・ソング」。
↓ 全英4位と彼らにとって最も売れたシングルとなった「ザ・デイ・ウィ・コート・ザ・トレイン」。ヴォーカリストのサイモン・ファウラーはこの曲について「僕らがモーズリーから電車に乗って、ただ逃げ出したかった頃の歌なんだ。成功するなんて思ってもみなかった時期のね」(ガーディアン誌インタビュー)と語っている。
(Goro)
