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Oasis
“Definitely Maybe” (1994)
オアシスを初めて聴いたのは、デビュー・シングルの「スーパーソニック」だった。
「とうとう出たね」とわたしはすでにそのとき思ったものだった。
ストーン・ローゼスとマッドチェスターから始まり、シューゲイザーで盛り上がった90年代英国ロックの総まとめみたいなのが、大トリで出てきたような印象だった。
オアシスが別格だったのは、ノエル・ギャラガーによるそのソングライティングのレベルの高さだった。それまで夢中になって聴いていた英国のインディ系バンドたちのCDが、急速に色褪せて朽ち果てていくように感じられるほどだった。
ロックなんていうものはたとえ「歌メロ」がテキトーであっても、ギターのリフとベースラインとビートがあればそれなりに「曲」になるものだ。
だから「曲」が書けるアーティストやバンドはいくらでもいるのだが、しかし「歌メロ」を書けるアーティストやバンドとなると、ほんのひと握りしかいないのが現実だ。
その意味で、90年代ロックでは歌メロが書けたソングライターの米国代表がカート・コバーン、英国代表がノエル・ギャラガーだったのだ。
本作はオアシスの1stアルバムで、1994年8月にリリースされた。
そこには60年代のブリティッシュ・ビートとサイケデリック、70年代のグラム・ロック、パンク・ロック、80年代のニュー・ウェイヴやインディ・ロックまで、英国ロックの博覧会のように、あらゆる要素が詰まっていた。
「スーパーソニック」を聴いたときに思った「90年代英国ロックの総まとめ」どころではない、全時代の英国ロックの総まとめみたいなアルバムだった。カッコ内は全英シングルチャートの最高順位だ。
1 Rock ‘n’ Roll Star
2 Shakermaker (11位)
3 Live Forever (10位)
4 Cloudburst
5 Up In The Sky
6 Sad Song
7 Columbia
8 Supersonic (31位)
9 Bring It On Down
10 Cigarettes & Alcohol (7位)
11 Digsy’s Diner
12 Slide Away
13 Married With Children
日本国内盤は上記のような収録曲だが、4と6は日本盤のみのボーナス・トラックで、オリジナルは11曲の収録である。3と8は代表曲だが、それ以外でわたしが好きなのは、ノエル・ギャラガーの作曲の才能にあらためて感心させられた12、13、そしてT.レックスのリフを丸ごとパクった10も楽しい。
アルバムは全英1位を獲得し、全世界で1,500万枚を売り上げた。
完成度やソングライティングのさらなる成長は1年後の2ndに譲るが、この1stは、今聴くと有り余るエネルギーと初期衝動の荒っぽさや勢いがなだれ落ちてくるようだ。
こんな、才能の原石の素晴らしい輝きと、無邪気でヤンチャな暴れっぷりが同居したロックアルバムも滅多にないだろう。
↓ デビュー・シングル「スーパーソニック」。これを初めて聴いたときの衝撃と歓喜は忘れられない。今でもオアシスではこの曲が一番好きだ。
↓ 全英10位のヒットとなった代表曲「リヴ・フォーエヴァー」。
↓ 全英7位のヒットとなった、Tレックス丸パクリが楽しい「シガレッツ&アルコール」。
(Goro)