Mick Ronson ft. David Bowie
Like a Rolling Stone (1994)
ボブ・ディランの最高傑作「ライク・ア・ローリング・ストーン」ももちろん多くのアーティストがカバーしているが、これはさすがに原曲超えというのはなかなか見当たらない。
そもそも原曲が独特かつ最高のサウンドに仕上がっているので、少なくともあのハモンド・オルガンが入っていないと物足りなく思えるし、しかし入れてしまうともう原曲とあまり変わらない印象になり、ただの廉価版か劣化版で終わってしまう。だから賢いザ・バーズは、この曲には手を付けていない。
そのうえ歌詞は、かつて金持ちだった女性が人生を転落していくことを嘲笑するような内容なので、ちょっと性格が悪そうなヴォーカリストじゃないと雰囲気が出ないし、やはりディランのあの根性のねじ曲がったようなヴォーカルはなかなか超えられないものだ。
その点、ザ・ローリング・ストーンズによるカバー(1995年発表『ストリップド』収録)は、まったくの正攻法アレンジのなかでは上出来のほうだったと思う。ミック・ジャガーも根性が悪そうなイメージの人だし(※個人の感想です)、しかもライヴ録音にしてはすごくちゃんと歌っていて、上手い。
そんなわけで、正攻法ならまだしも、大幅にアレンジしようとすると大抵は玉砕する名曲だが、ここで取り上げたミック・ロンソンとデヴィッド・ボウイによるカバーは、元がわからなくなるほど大幅にアレンジしながらも、なかなか秀逸な出来だ。
ミック・ロンソンなんて知らない人もいるかもしれないが、1971年あたりからデヴィッド・ボウイのライヴやレコーディングなどに参加し、ジギー・スターダストの頃はそのバンド、スパイダーズ・フロム・マーズのギタリストとして注目を集め、広くその名が知られるようになった。
その後、モット・ザ・フープルに参加したり、ボブ・ディランのローリング・サンダー・レヴューに参加するなどしたが、1991年に肝臓癌に侵されていることが発覚、1993年に46歳という若さで世を去った。
彼が遺した音源を集めて翌94年にリリースされたのが『ヘヴン・アンド・ハル(Heaven And Hull)』というアルバムで、そこにこの「ライク・ア・ローリング・ストーン」も収録されている。ヴォーカルは盟友デヴィッド・ボウイ、ギターはもちろんミック・ロンソンだ。
これはそもそも1988年に録音されていた音源らしいが、メタリックな輝かしい質感で縦横無尽に暴れ回るギターと、疾走感あふれるパワフルなヴォーカルがめちゃカッコいい。
この曲のカバーとしては、原曲超えというのではないけれど、まったく別のアプローチで成功しているほとんど唯一の例だと思う。
↓ ザ・ローリング・ストーンズのバージョン。
↓ ボブ・ディランのオリジナル。
(Goro)
