
⭐️⭐️⭐️
Lush
“Gala” (1990)
そんなわたしは、女子ロックにもちょっと甘い。いや、だいぶ甘いかもしれない。などと思いながらの選出ではある。許してほしい。誰にでも弱い部分はあるものだ。
「ラッシュ」と言っても、カナダのプログレ・バンドの”RUSH”ではなくて、女子2名・男子2名のイギリスのバンド、”LUSH”のほうだ。
毎回ラッシュのことを言うたびに「RじゃなくてLのほうの」と言わなければならないのも面倒なものだ。
当時は、まあ21世紀にでもなればプログレも絶滅してるだろうから、「ラッシュ」と言えばLUSHのことだと通じる時代が来るに違いないと思っていたが、あいにくそうはならなかった。残念極まりない。
フロントウーマン制で、ヴォーカル&ギターの女子二人が曲も書き、男子二人がベースとドラムで支えるという、それまであまり見たことがなかったバンド編成だった。
90年代は、かつてなかったほど、女子がフロントのバンドや女子だけのバンドが一気に増えた印象だった。なんだか、新しい時代がやってきたという感じがしたものだった。

1990年頃のLush
本作はそんなラッシュの最初期のEP2枚とミニ・アルバムを収録し、アメリカと日本向けに1990年11月に4ADからリリースされた編集盤だ。1stアルバムはまだ1年以上後までリリースされなかったので、われわれはこれを彼女たちの唯一のアルバムとして当時は聴いたものだった。
【オリジナル国内盤CD収録曲】
1 Sweetness And Light
2 Sunbathing
3 Breeze
4 Deluxe
5 Leaves Me Cold
6 Downer
7 Thoughtforms (2nd Ver.)
8 Baby Talk
9 Thoughtsforms
10 Scarlet
11 Bitter
12 Second Sight
13 Etheriel
14 Hey Hey Helen
15 Scarlet (Long Ver.)
4ADレーベルの先輩、コクトー・ツインズを彷彿とさせるドリーミィなサウンドが印象的だけれども、それもそのはずで、ラッシュの最初の4曲入りEP『マッド・ラヴ』はコクトー・ツインズのギタリスト、ロビン・ガスリーによってプロデュースされている。コクトー・ツインズ譲りのドリーム・ポップとシューゲイザーの要素が融合したようなサウンドだ。
透明度の高いファルセット・ヴォイスと、煌めくように軽やかに響き渡るギターが交じり合っい、ダンサンブルなビートに乗って明滅するともう体が動き出さずにはいられない、あの90年代の懐かしい香り漂う桃源郷だ。
シューゲイザー一派の中でも特に個性的な楽曲を書き、独特の世界観を醸し出した、ラッシュのスタイルが確立された初期の代表曲がいくつか収められている。
大音量で聴きながら浸っていると実に気持ちが良い。
フロントウーマンの黒髪のほうが生粋のロンドン生まれでギターが巧いエマちゃんで、もう一人の赤い髪のメイン・ヴォーカルのミキちゃんは、日本人とハンガリー人のハーフである。
ちなみに、派手女が好きだった当時のわたしは、赤い髪のミキちゃん派だった。
↓ 2枚目のシングルとしてリリースされた「Sweetness And Light」。エマ・アンダーソンの作だ。米オルタナ・チャートで4位まで上昇するヒットとなった。
↓ 本作『ガラ』の発売に合わせて、米国のプロモーション用にシングル化された「De-Luxe」。これもエマの作で、米オルタナ・チャートの14位まで上昇した。
(Goro)


コメント
今時?LUSHの記事を書く方がいるのがスゴいし(^^)、投稿している自分もなかなかだよな、と。
1990年、ロンドンのケンティッシュ・タウンというところに、タウン&カントリークラブというライブを演る会場がありまして(今はフォーラムに改名)、そこでLUSHを観ました。フランクな彼ら(彼女ら)は開演前にお客さん達に混じって談笑しており、皆サインもらったり握手したりしておりまして、ワタクシもお願いしようと列にならんでいたところ、エマちゃん側になりました。丁度順番がきたところでミキちゃん側の方が頬にキスをしてもらっておりましたので、目が合ったエマちゃんにお願いしたところ、こころよくチュッとしてくれたのでした〜♪
その後のライブは音楽性と相まって、当然夢見心地でございます。
「この令和の時代に、LUSHの記事を書いてる人がいる!」と、たった一人でもいいからあの時代の仲間たちに喜んでもらいたい、と思って書いたので本望です(笑)
いや、羨ましい。
そうと知っていればわたしも渡英して、ミキちゃん側に並んだのに…。