Lou Reed
Perfect Day (1972)
ルー・リードの名盤2ndアルバム『トランスフォーマー(Transformer)』収録曲。
アルバムは、デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンがプロデュースを務め、ルー・リードの中でも特に聴きやすく、充実した内容の代表作だ。
あの名曲「ワイルド・サイドを歩け」が収録されていることだけでも、ロック史に残る名盤と言えるけれども、他にも名曲・代表曲がいくつか収録されている。この「パーフェクト・デイ」なんかも、そのひとつだ。
「恋人と公園を散歩し、サングリアを飲んで、家路に着く。なんて完璧な一日なんだ」と、特別ではないけれども平穏な日常の、ささやかだけど本当の幸福を噛みしめるような歌詞だ。素晴らしい。
わたしもこの年になるとつくづく思うけれども、非日常的なエキサイティングで刺激的な日々もたまにはいいが、そんなものが毎日続いたら疲れてしょうがない。
ささやかな幸福を感じることが出来る、平穏な一日を繰り返しながら生きる方がずっといい。
ごめん、ワイルドでもアナーキーでもなくて。
しかし、穿った見方をしたがる評論家などは、この「恋人」を「ヘロイン」のことと解釈して世に広め、1996年にはヘロイン中毒の若者を描いたイギリス映画『トレインスポッティング』で、そっちの意味でこの曲が使用されたりもした。
ルー・リード本人はその解釈を聞いて「そりゃ面白いし、どう聴いても自由だけど、歌詞そのままの意味だよ」と一笑に付している。
1997年にはBBCがこの曲を使って、ルー・リード、ボノ、デヴィッド・ボウイ、ドクター・ジョン、エミルー・ハリス、トム・ジョーンズ、ブロドスキー・カルテット、BBC交響楽団など、ジャンルの垣根を超えた有名アーティストを結集してチャリティー・シングルとPVを制作し、全英1位となった。
↓ 1997年にBBC(イギリスの国営放送)が製作したチャリティー・シングルのPV。