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Led Zeppelin
“Led Zeppelin Ⅳ” (1971)
タイトルが示す通り、レッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムである。1971年11月にリリースされた。
日本一レッド・ツェッペリンに詳しい渋谷陽一氏によれば、当時のツェッペリンは何を出しても批評家に腐され、馬鹿呼ばわりまでされていたので、じゃあタイトルもアーティスト名もなければ変な先入観を持たずに聴かざるを得ないだろうとペイジさんだか誰だかが考えたらしいということだ。
しかしそれで批評家が「誰のなんというアルバムかわからないが、このアルバムは素晴らしい」などと評価するわけでもないだろうい。レコード店が誰のレコードかもわからず注文して店頭に並べることもないだろうし、「おー、これは誰のなんというアルバムかわからないけど、とりあえず買ってみよう」という客もいるわけがない。
きっと、批評家に渡されるレコードには「レッド・ツェッペリン4」などと付箋が付いていたりしただろうし、レコード店の納品書にも同じことが書いてあったに違いないのだ。なので、タイトルやアーティスト名を表記しないという戦略には特段意味もないわけで、そういうところが馬・・やめておこう。
逆にこの戦略は、批評家や音楽ライターたちを喜ばせることになったことだろう。何しろ、タイトルやアーティスト名がない、ということだけで、原稿の字数が稼げるからである。まあ、それと同じことをわたしも今やってみているわけだが。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ブラック・ドッグ
2 ロックン・ロール
3 限りなき戦い
4 天国への階段
SIDE B
1 ミスティ・マウンテン・ホップ
2 フォア・スティックス
3 カリフォルニア
4 レヴィー・ブレイクス
この、誰の何かわからないLPレコードは、全英1位、全米2位、日本のオリコンでも2位と世界的なヒットとなり、3,700万枚を売り上げた。これが仮にレッド・ツェッペリンのレコードだとすれば、彼らの全アルバム中、最大の売り上げである。
最も売れたアルバムということは、ツェッペリンはこのアルバムしか持っていないという人が世界中に大勢いたということでもある。要するにこのアルバムは、ツェッペリンのレコードのファースト・チョイス、入門盤でもあるのだ。
入門盤として世界中に普及するのも納得できる。
簡単に言えばこのアルバムは、わかりやすいのである。
ツェッペリンらしい、バンドが一体となったグルーヴのカッコよさがわかりやすい「ブラック・ドッグ」に始まり、古典的なロックンロールをいい感じにヘヴィにした「ロックンロール」、そしてとっつきやすいメロディとカッコいいギターソロやドラマチックな展開でシビレさせてくれる代表曲「天国への階段」、T.レックスかと思うほどノリのいい「ミスティ・マウンテン・ホップ」など、親しみやすい楽曲の宝庫なのである。
レッド・ツェッペリンの入門用としてだけでなく、ハード・ロックの入門用にも最適な1枚と言えるだろう。
↓ シングル・カットされ、全米15位のヒットとなった「ブラック・ドッグ」。
↓ レッド・ツェッペリンの代表曲として知られる「天国への階段」。
(Goro)