Johnny Thunders
You Can’t Put Your Arms Around a Memory (1978)
ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズによる超名盤『L.A.M.F』の次に発表したアルバムが、ジョニー・サンダースとして初のソロ名義の作品『ソー・アローン』だ。1978年10月にリリースされた。
『L.A.M.F.』がエネルギッシュでパワフルなロックンロール・アルバムだったのに対し、このアルバムはそのタイトルとジャケット写真が示すように、ジョニー・サンダースという人の、決して癒されることのない「孤独」が滲み出ているアルバムだ。
この「ユー・キャント・プット・ユア・アームズ・アラウンド・ア・メモリー」は、「こうしたかったわけじゃなくて、わからなかったんだ」「とても寂しい、孤独だ」と歌い、今の自分の状況から、自分の判断が誤りだったかもしれない、と後悔しながら「思い出を抱いたままでいることはできない、あきらめなきゃ」と歌う。
孤独なパンク・ロッカーが、その弱さもカッコ悪さも曝け出して歌う。情けないけれども、共感もしてしまう。
彼の書くロックンロールは本当に素晴らしく、ギタープレイもオリジナルなスタイルを持った数少ないギタリストで、敬愛するキース・リチャーズと同じように、音楽的才能に溢れていた。
アルバム『ソー・アローン』はイギリスのリアル・レコードからリリースされた。本国アメリカではジョニー・サンダースの死の翌年、1992年までリリースされることはなかった。
彼はメジャー・レーベルと契約したかったが、しかしメジャー・レーベルは彼を敬遠したという。才能あるアーティストではあったが、彼はプライベートを隠さず、手に追えないジャンキーであることが広く知られていたためだ。
あまりにピュアで、心の赴くままに生きて来た彼が、あまりに孤独であることに戸惑い、不安に怯えているように聴こえる、せつない曲だ。
わたしは共感しすぎて、この曲を聴くとなんだか胸の中の変なざわめきが止まらなくなった理したものだ。
(Goro)