Johnny Thunders and The Heartbreakers
To Much Junkie Busines (1977)
じゃあアメリカで、ヘロヘロでダメダメの代表格と言ったら誰だろうな、と考えていたら、君のことを思い出したよ、ジョニー君。
驚いたことに君はたったの38歳なんだな。いつのまにかわたしのほうがずいぶん年上になってしまった。
君の場合はまたちょっと別の意味でヘロヘロでダメダメなのだけど、しかしキャッチーなメロディとカッコいいリフで、ポップセンスにあふれた名曲を何曲も書いた。
わたしは君を、チャック・ベリーやキース・リチャーズと同じくらい、カッコよくて才能あふれる真のロックンローラーだと思っている。
君がハートブレイカーズとつくった『L.A.M.F』というアルバムは、史上最高のロックアルバムのひとつだ。
だれもが憧れるほどの才能にあふれていたけど、でも残念ながらだれもが引くほど人としてダメでもあった。
「チャイニーズ・ロックス」や「ボーン・トゥ・ルーズ」などの素晴らしい代表曲はロックファンなら知らない人もいないだろうし、ここではもうちょっとマイナーなこの曲を選ばせてもらった。この曲もまたキャッチーでカッコよくてユーモアもある、いかにも君らしいロックンロールだ。
君は1991年に死んだが、わたしはその訃報を当時の音楽雑誌で知った。
メタドンの過剰摂取だったという説があるが、詳しいことが公表されていないままで、いまだによくわからない。
今思えば、まだたったの38歳だったのに、失礼ながら「ああ、とうとうか…」みたいな、意外と長生きした人に対して思うような、そんな気持ちになったことを覚えている。
君の生き方がもう少し違っていたら、もっとたくさんの名曲や名盤を遺して、ロック界のスーパースターにもなれたはずなのに…、などとついつい考えてしまう。まあ別の生き方だったら、こんな曲は生まれなかったのだけど。
それにしても君は身を削りすぎだ。
あらためて思うとやりきれない気分になるので、文句のひとつでも言いたくなる。
そういう意味でもこの曲は、君のトゥー・マッチな人生を象徴する曲に違いない。
(Goro)