⭐️⭐️⭐️⭐️
Iggy Pop
“Lust For Life” (1977)
イギーっていうのはイグアナのことだ。
ポップなイグアナ、だな。
なんでイグアナなのかは知らないが、イギーがお手本にしていたジム・モリソンが「リザード・キング (トカゲの王)」と呼ばれていたので、自分はイグアナと名乗ることにしたのだろうか。それともタモさんより早く、ステージ上でイグアナのマネでもしていたのだろうか。
セールスの不調はもとより、イギーのヘロイン中毒なども原因で1974年にストゥージズは解散した。イギーはおよそ3年にわたって地獄をさまよった後、デヴィッド・ボウイの支援でソロ・デビュー作『イディオット』を1977年3月に発表した。
ストゥージズのアルバムはどれも売れなかったけれども、『イディオット』はイギーにとって初めての商業的な成功をもたらした。その勢いに乗って、守護者ボウイがバックでキーボードを担当しながら見守る中でツアーをこなし、さらには前作のリリースからたったの2ヶ月後には再びボウイとスタジオに入り、本作の制作に入ったのである。
ボウイは自作の『ロウ』のプロモーションをキャンセルしてイギーのツアーやレコーディングに付き合うという献身ぶりだったが、しかしそのためにイギーは取材でボウイのことばかりを訊かれるのにもやがて嫌気がさし、本作こそ自分の主導で制作しようと決意した。
そのせいもあってか、本作は『イディオット』とはまったく性格の異なるアルバムとなった。
イギーがめずらしくも満面の笑顔で写っているジャケットが象徴するように、過去にイギーが見せたことがなかったような、明るく、ポジティヴで、親しみやすい楽曲が並んでいる。イギーの声は健康そのものの力強さがあり、バンドの演奏も迫力があり、楽しんでいるのがわかる。「地獄からの生還」という感じがする。
前作から半年という短いインターバルで1977年9月にリリースされた本作は、全英28位と前作よりもさらにセールスで上回った。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ラスト・フォー・ライフ
2 シックスティーン
3 サム・ウィアード・シン
4 ザ・パッセンジャー
5 トゥナイト
SIDE B
1 サクセス
2 ターン・ブルー
3 ネイバーフッド・スレット
4 フォール・イン・ラヴ・ウィズ・ミー
シングル・カットされたB1「サクセス」や、人気の高いA4「ザ・パッセンジャー」、後にボウイがシングルとしてリリースした「トゥナイト」など、親しみやすい名曲が並ぶが、なんと言ってもA1「ラスト・フォー・ライフ」は、イギーの全キャリアの中でも一般的に最も広く知られた曲だろう。
1996年のイギリス映画『トレインスポッティング』に挿入曲として使用され、全英26位のリバイバル・ヒットとなって以来、広く知られるようになった代表曲だ。イギリスの底辺の若者たちのドラッグ文化を描いた映画のストーリーに、この曲の歌詞がぴったり合っていた。
アル中でヤク中のジョニーが来やがったぜ
今日もベロベロ、またストリップを始める気だ
でもおれは愛なんてものを見つけちまったから
とにかく生きたいんだ
なにがなんでも生きていたいんだ
(written by Iggy Pop, David Bowie)
どういうわけか早死にしなくて済んだロックスターの英国代表がキース・リチャーズなら、米国代表はこのイギー・ポップだろう。よくぞ生き伸びてくれたと思う。
77年は『イディオット』と『ラスト・フォー・ライフ』という、まったく性格の異なる音楽性の2枚で、計らずもイギーの新たな魅力を引き出し、この2作はイギーの代表作となった。
まあしかし、本当にデヴィッド・ボウイさまさまだな。
↓ イギーの代表曲として広く知られている「ラスト・フォー・ライフ」。
↓ こちらも1998年に車のCMに使用されたことで全英22位のリバイバル・ヒットとなった「ザ・パッセンジャー」。
(Goro)