ジョージ・ハリスン『オール・シングス・マスト・パス』(1970)【最強ロック名盤500】#162

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【最強ロック名盤500】#162
George Harrison
“All Things Must Pass” (1970)

1970年4月にポール・マッカートニーがマスコミに、ビートルズ脱退宣言をしたことでビートルズは事実上の解散となった。

実はそれ以前にジョージもジョンもリンゴも口論の挙句に脱退を宣言をしたりしていたので、最後の一人、ポールが脱退宣言をしたことでビートルズはついに空っぽの空き家になったのだ。

本作はそのビートルズが空っぽになった翌月から、フィル・スペクターをプロデューサーに迎えてレコーディングが開始され、1970年11月にリリースされた。

ビートルズを出て行った4人はこの年、全員が早速ソロ・アルバムをリリースしている。
なんだか、ビートルズではやりたくてもできなかった鬱憤を各々が一気に吐き出したようにも見える。

その中でわたしが最も好きなアルバムが本作である。正直、ダントツで良い出来だと思う。リアルな空間を感じるようなサウンドのフィル・スペクターのプロデュースも良いし、楽曲も充実している。

思えば、ビートルズの最後のアルバム『アビイ・ロード』でもジョージの「サムシング」と「ヒア・カムズ・ザ・サン」は特に輝いていて、もうその時点ではレノン&マッカートニーよりも新鮮で印象的な曲を書くところまで成長したように思えたものだ。

その成長にも関わらずジョージの曲の収録はビートルズでは2曲程度までに抑えられていたのは、あるいはレノンとマッカートニーが脅威を感じていたのではないかと勘ぐりたくなる。

そんな、ビートルズでは発表できずに溜め込まれていた楽曲を一気に吐き出した本作は、LP3枚組23曲収録の大作となった。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム
2 マイ・スウィート・ロード
3 ワー・ワー
4 イズント・イット・ア・ピティー (Ver.1)

SIDE B

1 美しき人生
2 イフ・ノット・フォー・ユー
3 ビハインド・ザット・ロックト・ドア
4 レット・イット・ダウン
5 ラン・オブ・ザ・ミル

SIDE C

1 ビウェア・オブ・ダークネス
2 アップル・スクラッフス
3 サー・フランキー・クリスプのバラード
4 アウェイティング・オン・ユー・オール
5 オール・シングス・マスト・パス

SIDE D

1 アイ・ディッグ・ラヴ
2 アート・オブ・ダイイング
3 イズント・イット・ア・ピティー (Ver.2)
4 ヒア・ミー・ロード

SIDE E

1 アウト・オブ・ザ・ブルー
2 ジョニーの誕生日
3 プラッグ・ミー・イン

SIDE F

1 アイ・リメンバー・ジープ
2 サンクス・フォー・ザ・ペッパロニ

アルバムは全米・全英をはじめ、世界各国でチャート1位となり、700万枚を超える大ヒットを記録した。

シングル・カットされたA2「マイ・スウィート・ロード」も全米・全英で1位の大ヒット、B1「美しき人生」も全米10位のヒットとなった。

他にもB2「イフ・ノット・フォー・ユー」はボブ・ディランのカバーであるが、原曲を超える素晴らしい出来だし、そのディランとの共作であるA1「アイド・ハヴ・ユー・エニイタイム」も印象的なオープニング・ナンバーとなっている。そして、ビートルズ時代に書いたもののメンバーに拒否されて使われなかったC5「オール・シング・マスト・パス」はザ・バンド風の名曲だ。

DISC 3は「アップル・ジャム」と名付けられた、アップル・スタジオでのジャム・セッションが収録されている。ほぼインストの5曲で、エリック・クラプトン率いるデレク&ザ・ドミノスなどが参加している。

正直に言うとDISC 3は最初に1回か2回聴いたきりで、以降は聴いていない。

実のところ、わたしはいつのまにか本作を2枚組アルバムだと思い込んでいて、3枚目の存在はすっかり忘れていたことを最後に告白しておこう。

↓ 世界的ヒットとなった「マイ・スウィート・ロード」。後にシフォンズの「いかした彼」に似ているとして訴訟沙汰になり、莫大な賠償金を支払わされている。

↓ 全米10位のヒットとなった「美しき人生」。

(Goro)

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