イーグルス『ホテル・カリフォルニア』(1976)【最強ロック名盤500】#231

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【最強ロック名盤500】#231
Eagles
“Hotel California” (1976)

60年代末から70年代にかけて隆盛を極めた〈ウエストコースト・ロック〉が辿り着いた頂点であり、その最後の輝きとも言えるアルバムだ。

落日のホテルを写したなんだか寂しげなジャケットは、このアルバム全体に通底する「ひとつの時代の終わり」の寂寥感や虚脱感を象徴しているようにも見える。

本作は1976年12月にリリースされ、全米1位、全英2位、日本のオリコン・チャートでも2位と世界的なヒットとなり、販売枚数は3,200万枚を超えた。アメリカ国内で史上3番目に売れたレコードとなっている。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 ホテル・カリフォルニア
2 ニュー・キッド・イン・タウン
3 駆け足の人生
4 時は流れて

SIDE B

1 時は流れて (リプライズ)
2 暗黙の日々
3 お前を夢みて
4 素晴らしい愛をもう一度
5 ラスト・リゾート

前作『呪われた夜』でそれまでのカントリー・ロック路線からハードなロック路線へと変更された方向性は本作でさらに推し進められているけれども、完全にカントリーの要素が排除されたわけではない。最初にシングル・カットされたA2「ニュー・キッド・イン・タウン」は彼らのルーツであるカントリー・ロックを感じさせるものであり、全米1位の大ヒットとなった。

どこか寂しげな曲調で「街に新たな若者がやってきた」と歌うこの歌は、ラヴソングを装いながら、音楽シーンのことも仄めかしている、と作者のひとりであるドン・ヘンリーは語っている。もうひとりの作者であるグレン・フライはコンサートで「この曲はホール&オーツをモデルとしたものだ」と当人たちが来ている前で言ったそうだが、当時の彼らの斬新な音楽に、新しい時代の波が来ているのを感じたということなのだろう。

なにしろ「おれたちの時代のロックはもう終わった。次の世代の番だ」と歌ってるようなものなのだから、こんな寂しい歌もない。

若い頃のわたしは、このタイトルとやけに憂鬱そうな雰囲気から、街に若いギャング団がやってきた、みたいな歌なのかと思って聴いていた。まあ、たしかにこの後台頭してくるのはパンク・ロックなので、当たらずとも遠からずだったと言えなくもない。

そして全米1位、全英8位のヒットとなったタイトル曲「ホテル・カリフォルニア」は、世界中でもそして日本でも、問答無用のロックの名曲として最も知られた洋楽曲のひとつだ。美しく印象的なギターのイントロに始まり、ドラマチックな歌メロ、エンディングの一度聴いたら忘れられないツイン・リードのギター、作り込まれたサウンド、そして謎めいていて興味を惹かれる歌詞と、すべてが完璧に揃った、ウエストコースト・ロックの最高傑作である。

1967年の”サマー・オブ・ラヴ”に始まり1969年のウッドストックへと繋がった、若者たちにとって自由と反抗の象徴だったロックは、70年代には大人たちが支配する巨大産業に組み込まれ、巨万の富を生んだ。

「ホテル・カリフォルニア」の歌詞は様々に解釈されるが、60年代のロックの精神スピリットは失われ、西海岸が自由とカウンター・カルチャーの象徴だったのは過去のこと、人々はただ欲望に駆られるままに生きているだけだ、と歌っているように聴こえる。

音楽業界を暗に批判もしている内容だが、しかしその歌とアルバムがまたメガ・ヒットして巨万の富を生んだのは皮肉なものだ。

それは彼らの音楽が世界中で好まれ、共感された結果であって、なにも悪いことではないのだけれども、当人たちは複雑な気持ちだったに違いない。

↓ 世界的なヒットとなった、泣く子も黙るイーグルスの代表曲「ホテル・カリフォルニア」。

↓ こちらも時代の変化を歌った「ニュー・キッド・イン・タウン」。全米1位のヒットとなった。

(Goro)

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