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Curtis Mayfield
“Curtis” (1970)
カーティス・メイフィールドがインプレッションズを脱退して、1970年9月にリリースした、初のソロ・アルバムである。
たしかもうアラフォーになろうかという頃、わたしはこのアルバムを初めて聴いて、すぐに好きになった。
わたしはだいたいにおいて、アルバムを一度聴いたぐらいではよくわからず、5回も6回も聴いてからやっと好きか嫌いかがわかるという鈍いやつなのだけれども、このアルバムは初めて聴いた瞬間から、ああこれは名盤だなあと思ったことをよく覚えている。
1970年当時、マーヴィン・ゲイやダニー・ハサウェイ、スティーヴィー・ワンダーなどとともに、カーティス・メイフィールドの音楽は「ニュー・ソウル」と呼ばれた。
ニュー・ソウルはその斬新なサウンドだけではなく、社会問題や人種問題なども取り上げたシリアスな歌詞も特徴的で、本作はその代表格とも言える。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 イフ・ゼアズ・ア・ヘル・ビロウ・ウィアー・オール・ゴナ・ゴー
2 ジ・アザー・サイド・オブ・タウン
3 ザ・メイキングス・オブ・ユー
4 ウイ・ザ・ピープル・フー・アー・ダーカー・ザン・ブルー
SIDE B
1 ムーブ・オン・アップ
2 ミス・ブラック・アメリカ
3 ワイルド・アンド・フリー
4 ギブ・イット・アップ
アルバムは全米19位のヒットとなった。
朗々と歌わないファルセットは美しくもあれば不気味でもあり、不穏なパーカッションはアフリカの地を連想させる、野生的かつ先鋭的なサウンドだ。
アグレッシヴに情念が剥き出しになった音楽はしかし、冷静な知性によってコントロールされ、最初から最後までひとつながりのシンフォニーのようにも聴こえる。
久しぶりに聴いてみたが、やはり最後まで一気に聴かせる。ドラマチックな展開で目が離せない、というか耳が離せない、といった感じだ。
↓ シングル・カットされたA1「イフ・ゼアズ・ア・ヘル・ビロウ・ウィアー・オール・ゴナ・ゴー」。米R&Bチャート3位のヒットとなった。
B1「ムーヴ・オン・アップ」は本作で最も知られた曲だろう。イギリスで全英シングルチャート12位のヒットとなり、ザ・ジャムのカバーでも知られている。日本のバラエティ番組などでもなぜかよく使われているのを耳にする。
(Goro)