どうも、よく考えてみると中学の頃から大して変わっていない気がする、ゴローです。
チープ・トリックは米イリノイ州出身で、1977年にデビューしました。たぶん、今の若いロックファンは知らないでしょう。今はもう全然人気がないからです。彼らのピークは70年代末から80年代までで、平成になる前にすでに終わっていました。
ビートルズやニルヴァーナやピストルズのように伝説的なバンドにもなってないので、薦められて聴くような機会もあまりなかったと思います。
でもわれわれの世代では、パンク好きもハードロック好きも、ロック好きならみんな大好きといっても過言ではないバンドでした。
チープ・トリックは、デビューしてから2年ぐらいは本国アメリカでは全然売れていませんでした。
なのに最初に彼らを発見し、支持したのは日本の少年少女たちでした。わたしもそのひとりでした。これは自慢です。
アメリカでは全然売れていないくせに日本では大人気なので、なんと彼らは日本武道館でコンサートをしました。その模様は『チープ・トリックat武道館』というライヴ盤になりました。
この『at武道館』がアメリカに逆輸入され、なんと全米4位という大ヒットになり、チープ・トリックはアメリカでもブレイクしたのです。
今回、あらためてチープ・トリックを聴き返して、今聴いてもやっぱりいいなあと思える名曲を、最初に彼らを支持した日本の少年少女のひとりとしての誇りと責任を持って、ランキングにしてみました。
以下は、わたくしゴローが愛するチープ・トリックの名曲ベストテンです。
Hello There
日本でのブレイクのきっかけとなった2ndアルバム『蒼ざめたハイウェイ(In Color)』はオリコン・チャート30位という、洋楽としては大ヒットとなった。ちなみに全米チャートでは73位。
この曲はそのアルバムのオープニング・ナンバーで、初来日のあの伝説の武道館公演でもオープニングを飾った。
ハード・ロックのようなサウンドのキレのいいロックンロールがカッコいい。
Dream Police
4枚目のアルバム『ドリーム・ポリス』は、チープ・トリックの絶頂期となり、オリコンチャート4位、全米6位の大ヒットとなった。
この曲はそのタイトル曲だ。
今聴くと派手なシンセサイザーのアレンジで急にポップになった感があるけれど、当時はテクノ・ポップ・ブームで、シンセの音がないと売れないぐらいの時代背景なのである。
Cheap Trick – Don’t Be Cruel
エルヴィス・プレスリーが1956年に発表して全米1位の大ヒットとなった名曲のカバー。
1988年のチープ・トリックの復活を印象付けたアルバム『永遠の愛の炎』からのシングルで、こちらも全米4位という大ヒットを収めている。
チープ・トリックは50年代の名曲やビートルズなどをカバーしていて、出来の良いものが多い。その高い演奏技術もさることながら、彼らがいかにポップ・ソングやロックンロールを深く理解し、深く愛しているかということが゛伝わってくる。
Clock Strikes Ten
2ndアルバム『蒼ざめたハイウェイ(In Color)』収録曲。
ハードなロックンロールに、どことなくユーモラスなコーラスが見事に融け合ってカッコいい、これぞチープ・トリックという楽曲。
Voices
アルバム『ドリーム・ポリス』からのシングル。
情感溢れるバラード・ソングなんだけれど、これもサビのとろけた感じなんかが、ユーモアとクールが一体となっている。
尚、初期のチープ・トリックの曲のほとんどを書いているのは、あの見た目キテレツな感じのギタリストのリック・ニールセンだ。
The Flame
1980年にベースのトム・ピーターソンが脱退したあたりからチープ・トリックはヒットに恵まれず、低迷する。
1988年にトムが復帰し、そしてリック・ニールセンではなく外部のソングライターが書いたこの「永遠の愛の炎」をシングルで発表すると、彼らのキャリア初の、全米No.1の大ヒットとなる劇的な復活作になった。
当時流行の、ライト・メタル風バラードで、70年代のチープ・トリックを愛する評論家たちからは否定的な反応もあったらしいが、わたしは全然いいと思う。良い曲じゃないか。
Tonight It’s You
8thアルバム『スタンディング・オン・ジ・エッジ』からのシングル。
80年にトムが脱けたことが大きかったのか、日本でも人気が下降気味となり、初めてオリコン・チャートにも入らなかった。
それでもこの曲は素晴らしい。チープ・トリックのバラード・ソングの中では一番好きだ。
If You Want My Love
6枚目のアルバム『ワン・オン・ワン』からのシングル。
全米45位が最高位なので、大ヒットまではいかない。小ヒットぐらい。
あらためてこの曲なんかを聴くと、チープ・トリックの後に出てきた80年代アメリカのライト・メタル・バンドたちの先駆けというか、影響を与えたんだろうなあと思う。
トムが抜けたことで、ジャケットの作りも変わってきた。
やっぱりチープ・トリックのジャケといったら、表2人裏2人のパターンが、バンドの独特の個性も表していて良かったりする。
人気が急落していった原因はそのバランスが崩れたこともあるのではないか。
Surrender
3rdアルバム『天国の罠(Heaven Tonight)』からシングルで、彼らの初期の代表曲だ。
アルバムはオリコンチャート11位、全米48位と、圧倒的に日本での売れ方が先行したのがわかるけど、なぜ彼らがこれほど日本でウケたのか、あらためて聴きながら考えて、得心した。
チープ・トリックは「カワイイ」のだ。
ハード・ロックと、ビートルズみたいなポップスが融合してちょっとユーモアもある「サレンダー」のような楽曲もカワイイし、イケメン2人と、ふざけたオジサンと、普通の巨漢という組み合わせの見た目もカワイかったのだとわたしは思う。
これはきっと日本人ならではの美意識で、戦国時代から「侘び寂び」などと言って茶器などを愛してきた審美眼は、現代では「カワイイ」に変わったのだとわたしは思っている。思い込んでいる。
I Want You to Want Me
日本でチープ・トリックがブレイクするきっかけになった、2ndシングル。
でも、日本以外では全然売れなかった。
2年後に『at武道館』が本国アメリカに逆輸入され、そのライブ・バージョンでこの曲がシングル・カットされると、全米7位の大ヒットとなった。現在でもチープ・トリックの代表曲として知られている。
まるでビートルズの公演ような黄色い歓声、大合唱にアメリカ人も驚いたに違いない。
それにしても「日本人の歓声」というのは、ホントすぐ聴いてわかる独特のものだ。
『紅白歌合戦』とか『レコード大賞』とか、なんかああいう会場の歓声を思い出してしまう。
以上、《チープ・トリック【名曲ベストテン】でした。
(Goro)