Creedence Clearwater Revival
Have You Ever Seen the Rain (1970)
これ以上シンプルにできないぐらいシンプルな曲なのに、一生聴き続けても飽きない。ジョン・フォガティはそういう曲を書く天才だ。
そのうえこの少ししゃがれた、粘っこい独特の声がまたいい。
シンプルな曲が、この表情豊かな声によって陰影や哀愁を帯び、感情を揺さぶる聴きごたえのあるものになる。まさにロックを歌うために生まれてきたような男だ。
この曲は、1970年12月にリリースされたC.C.R.の6枚目のアルバム『ペンデュラム』からシングル・カットされ、全米8位のヒットとなった。
それまでの2年間で6枚のシングルを立て続けにベスト3に送り込んだC.C.R.にしては急に順位が落ちた感じになっているけれども、それには理由がある。
当時この曲は、アメリカでは放送禁止になった。
歌詞の「晴れた日に降るキラキラした雨」というのがナパーム弾のことで、ベトナム戦争を批判していると解釈されたらしい。
しかし、作者のジョン・フォガティはそれを否定している。彼は「ある日、雨を眺めながら、このバンドもそろそろ終わりかなあ、という寂しい気持ちで書いた」と語っている。
当時のC.C.R.は、商業的にも大成功していたにも関わらず、ジョンがすべての曲を書き、すべてを取り仕切っていることが、弟のトム・フォガティを筆頭に、他のメンバーは気に入らず、バンド内の人間関係は極めて険悪なものだったという。
そしてC.C.R.は、ジョンが憂慮した通り、翌年に解散する。
それにしても、こんな良い曲を放送禁止にするなんて、アメリカって自由の国なんて言いながらなんだかケツの穴がちっちゃいなあ、なんて思わなくもない。
↓ 英ウエールズ出身の、迫力あるハスキー・ヴォイスで知られるボニー・タイラーが1983年にシングル・リリースしたカバー。
↓ ラモーンズが1993年にリリースしたカバー・アルバム『アシッド・イーターズ』に収録されたカバー。
(Goro)