カーペンターズ『シングルス 1969〜73』(1973)【最強ロック名盤500】#202

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#202
Carpenters
“The Singles 1969-1973” (1973)

この【最強ロック名盤500】に、ベスト盤的な内容のアルバムを選ぶのは50年代のロックンロール草創期のアーティスト以来のことだ。

カーペンターズの1971年発表の『カーペンターズ』、そして72年の『ア・ソング・フォー・ユー』、73年の『ナウ・アンド・ゼン』といったオリジナル・アルバムはどれも傑作ではあるけれども、しかしやはりこのヒット・シングルがズラリと並んだ本作の最強感は圧倒的なのである。

1973年11月にリリースされた本作は、カーペンターズにとって初の全米1位となり、英国では17週連続1位という記録を打ち立てた。カッコ内はシングルチャートでの最高位だ

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 愛のプレリュード(米2位、英28位)
2 トップ・オブ・ザ・ワールド(米1位、英5位)
3 涙の乗車券(米54位)
4 スーパースター(米2位、英18位)
5 雨の日と月曜日は(米2位)
6 愛にさよならを(米7位、英9位)

SIDE B

1 イエスタデイ・ワンス・モア(米2位、英2位)
2 小さな愛の願い(米12位)
3 シング(米3位)
4 ふたりの誓い(米3位)
5 ハーティング・イーチ・アザー(米2位)
6 遙かなる影(米1位、英6位)

楽曲は様々なソングライターによるものが混在している。

「愛のプレリュード」と「雨の日と月曜日は」はポール・ウィリアムズとロジャー・ニコルズの名コンビ、「涙の乗車券」はレノン/マッカートニー、「スーパースター」はレオン・ラッセル、「小さな愛の願い」はキャロル・キング、「遥かなる影」はバート・バカラックなどなど。そして中でも最も重要な名曲である「トップ・オブ・ザ・ワールド」、「愛にさよならを」、「イエスタデイ・ワンス・モア」は兄のリチャード・カーペンターの作である。

楽曲のアレンジはそのほとんどをリチャード・カーペンターが手がけているらしい。カレンの声を最大限に生かしたシンプル極まりないアレンジで、このアレンジがまた素晴らしい。妹も天才だが、兄もどうやら天才らしい。

ロック界にも個性的な女性ヴォーカリストは数多いが、しかしわたしはカレン・カーペンターこそ唯一無二の歌声の持ち主であり、史上最高の女性ヴォーカルのひとりだと思っている。

伸びやかな高音を武器にする女性ヴォーカリストは多いが、カレン・カーペンターは逆にその低音の美しさに比類が無い。ロック・ポップス界ではめずらしいタイプだ。その声でさらに天才的なリズム感を感じさせる歌い方をする人で、わたしは何度聴いてもその美しさに鳥肌が立つような感覚を覚える。

カーペンターズは日本でも熱烈に愛された。
カレンの早すぎる死去によってカーペンターズが消滅する1983年まで、日本で最も多くシングルを売った洋楽アーティストはカーペンターズで、ビートルズはそれに次いで2位だったほどだ。

比類なく美しい歌声と芸術品のような完成度の楽曲、カーペンターズの作品には流行もなにも関係なく、時代を超越した普遍性がある。

たとえどれだけ時代が変わっても、100年後の世界でも、ポピュラー音楽史上最も美しい音楽のひとつとして聴き継がれているに違いないのだ。

↓ 初の全米1位を獲得した大ブレイク作「遥かなる影」。この頃はカレンはドラムを叩きながら歌っていた。

↓ 最もよく知られた世界的ヒット曲「イエスタデイ・ワンス・モア」。日本でも最大のヒット曲となり、オリコン洋楽チャート26週連続1位、100万枚以上を売り上げた。

(Goro)

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