どうも、『ロックの快楽』の孤独な執筆者、ゴローです。
1970年代にそのスタイルを完成させた「レゲエ」という音楽は、当時の英国のロック・ミュージシャンたちに衝撃を与えました。
エリック・クラプトンがカバーしたボブ・マーリィの「アイ・ショット・ザ・シェリフ」の大ヒットで世界に「レゲエ」と「ボブ・マーリィ」の名を知らしめました。
レゲエがその後のロックに与えた影響は計り知れません。
ボブ・マーリィはジャマイカの歴史上最大の有名人となり、ジャマイカとレゲエのシンボルになりました。
そして国民的英雄としてジャマイカの政治にも影響を及ぼし(そのせいで狙撃されて重傷も負いましたが)、またその楽曲を通じて「ラスタファリ」の思想や、赤と緑と黄色のラスタカラーを世界中に広めた、20世紀のカリスマのひとりでした。
しかしボブ・マーリィはその絶頂期の1981年、脳腫瘍を患い、36歳で早逝しました。
ボブ・マーリィの音楽は、力強い響きと、豊かな歌と、切実な思いが心を震わす、圧倒的なパワーを持った音楽です。
今から30年以上前(遠い目)わたしがボブ・マーリィにハマっていた頃、これ以上の音楽はないだろうと思っていたものでした。ボブ・マーリィの音楽にはそんな魔力があります。
今回、あらためてボブ・マーリィの全アルバムを聴き返しましたが、30年以上も前から聴いているので、ぶっちゃけ飽きてもいますが、それでも、今聴いてもやっぱりいいなあと思えるものから厳選して、ランキングにしてみました。
以下は、わたくしゴローが愛するボブ・マーリィの至極の名曲ベストテンです。
Survival
79年のアルバム『サヴァイヴァル(Survival)』のタイトル曲。
アルバム・ジャケットは、アフリカ諸国と世界中のアフリカ系人種の連帯を訴えたボブ・マーリィの晩年の思想を象徴する、アフリカ諸国の国旗が配されたもの。
16歳のわたしはこれを貸しレコード店で借りた。
きっとジャケットのインパクトと美しさに魅かれたのだと思う。これがわたしが初めて聴いたボブ・マーリィのレコードだった。
凄く変わった音楽だけど、パワーがあって、良い歌もあるなあと思った。
この曲は、アルバムの中でも「ジンバブエ」と並んで好きだった。
Exodus
不穏なイントロから始まり、ピアノが入り、ヴォーカルが入り、ぶっといベースが入ってくる、こういうカッコいい作りはホントに抜群に上手いと思う。
歌詞やその思想で語られることも多いボブ・マーリィだけれども、しかし彼の音楽の最大の魅力は、その前にまずロックを超えるほど圧倒的な凄味のあるサウンドのカッコ良さなのだ。
Buffalo Soldier
ボブ・マーリィの死後、1983年に未発表曲を集めて発表されたアルバム『コンフロンテイション(Confrontation)』収録曲で、シングル・カットもされた。
バッファロー・ソルジャーとは、アメリカの南北戦争時の北軍で、黒人だけの部隊として戦った、実在の戦士たちのことだ。
当時の白人の差別や偏見の下でも勇敢に戦った戦士として、ジャマイカ人から英雄視されているそうだ。
78年ごろに録音されていた未発表曲らしいが、なぜこんな名曲がお蔵入りになっていたのか、謎だ。
Concrete Jungle
ボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズのメジャーデビュー・アルバム『キャッチ・ア・ファイア(Catch a Fire)』のオープニングナンバー。
空気を揺るがし、尾てい骨にビリビリ突き刺さる暴力的なベースが支配する、あまりに不穏で心をザワつかせる、凶悪なサウンドにわたしは衝撃を受けたものだった。
I Shot the Sheriff
1973年に発売されたシングル。この曲をエリック・クラプトンがカバーして大ヒットしたことから、世界中で「レゲエ」と「ボブ・マーリィ」の名が知られることになる。
それまでのロックには無かった特徴的なリズムに、太いベース音が中心になったパワフルなサウンド、そして「おれは保安官を撃った」という反社会的な歌詞は、衝撃的だった。
Redemption Song
ボブ・マーリィの生前最後のアルバム『アップ・ライジング(Uprising)』収録曲。
彼の曲としては異色の、ギターの弾き語りのみによる、心に沁みる名曲だ。
まるで死期を悟っていたかのような深い想いが感じられるこの歌に、ボブ・マーリィで最も好きな曲に挙げるファンも多い。
KAYA
ジャケットでボブ・マーリィが唯一笑顔を見せているということだけでもなんだかちょっと感動してしまうのだけれど、わたしが最もよく聴いたアルバムは78年のこの『カヤ(Kaya)』かもしれない。
初めてボブ・マーリィを聴く人にも勧めやすい名盤だ。
これはそのアルバムのタイトル曲。
カリブの陽光が降り注ぎ、人生を謳歌するような明るさに溢れた曲だ。
女性のコーラスもやけにスタイリッシュで、観光用のCMにも使えそうなぐらいポップな曲だ。
でも、「カヤ」って大麻のことなんだけど。
Is This Love
名盤『カヤ』からのヒット・シングル。
ポップでキャッチーな、万人向けの代表曲だ。全英9位。
Lively Up Yourself
1974年の名盤『ナッティ・ドレッド(Natty Dread)』の冒頭を飾る曲。
久しぶりにボブ・マーリィを聴きたくなったときはいつも最初にこの曲を大音量でかける。
ベースのリフで家屋と尻穴がびりびりと震えるぐらいの爆音が好みだ。若い頃はこれでよく母親に怒鳴られたものだった。大人になってからはカミさんに怒られ、そして現在は娘に叱られている。
でもわたしは意に介さない。わたしにとってボブ・マーリィは常に「抵抗の音楽」なのだ。
No Woman, No Cry
ボブ・マーリィのいちばん有名な曲と言えばこの曲だろう。わたしもこの曲がいちばん好きだ。30年以上聴き続けても、それは変わらない。
初期の革命戦士のようなイメージのボブ・マーリィが、すべての女性たちに向けて「泣かないでくれ、泣いちゃダメだ」と歌う優しいメッセージは感動的だった。
後半で何度も何度も繰り返される「Everything’s gonna be all right!(大丈夫、なにもかもうまく行く!)」という力強いメッセージにはいつもグッとくる。
以上、ボブ・マーリィ【名曲ベストテン】でした。
ボブ・マーリィのアルバムを最初に聴いてみるなら、ベストもいいけど、聴きやすい名盤『カヤ』や、アツい1975年のライヴ盤『ライヴ!』あたりが特にお薦めです。
まあでもボブ・マーリィには駄作と言われるアルバムは1枚もないので、どれから聴いてもハズれはないのでご安心を。
(Goro)