“Bob Dylan’s Greatest Hits Vol. II”
前回の『グレーテスト・ヒット』からまだ4年半しか経っていないのに、もう次のベスト盤を出すというのはいろいろ事情があったに違いない。前のベスト盤が物凄く売れたとか。ディランが新しいアルバムを作ろうとしないとか。たぶんその両方だったのだと思う。
さすがに4年半だと新たなヒット曲だけでは埋まらないので、前作から洩れた初期の曲や、またディラン自身の要望による、他のアーティストが録音した曲の、未発表の原曲が6曲入っている。
収録曲は以下の通り。
Side A
1. 川の流れを見つめて（シングルのみでリリースされたアルバム未収録曲）
2. くよくよするなよ（『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』）
3. レイ・レディ・レイ（『ナッシュヴィル・スカイライン』）
4. メンフィス・ブルース・アゲイン（『ブロンド・オン・ブロンド』）
Side B
1. アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト（『ジョン・ウェズリー・ハーディング』）
2. オール・アイ・リアリー・ウォント（『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』）
3. マイ・バック・ページズ（『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』）
4. マギーズ・ファーム（『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』）
5. 今宵はきみと（『ナッシュヴィル・スカイライン』）
Side C
1. シー・ビロングズ・トゥ・ミー（『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』）
2. 見張塔からずっと（『ジョン・ウェズリー・ハーディング』）
3. マイティ・クイン（未発表。マンフレッド・マンに提供した曲。）
4. 親指トムのブルースのように（『追憶のハイウェイ61』）
6. はげしい雨が降る（『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』）
Side D
1. イフ・ナット・フォー・ユー（『新しい夜明け』）
2. イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー（『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』）
3. 明日は遠く（未発表。エルヴィス・プレスリーが録音した曲）
4. マスターピース（未発表。ザ・バンドに提供した曲）
5. アイ・シャル・ビー・リリースト（未発表。ザ・バンドに提供した曲）
6. ゴーイング・ノーホエア（未発表。バーズに提供した曲）
7. ダウン・イン・ザ・フラッド（未発表）
ディランのファンにとってはアルバム初収録曲が多くて興味深いアルバムではあるけれど、『グレーテスト・ヒット』と名乗るのはどうかなという印象だ。
他のアーティストに提供した曲で、レコード化されていなかった音源（デモ？）がいくつか収められているけれども、概ね原曲よりカバーのほうが良くなっているのもディランあるあると言えるだろう。
オープニングを飾る「川の流れを見つめて」はこのベスト盤がリリースされた時点でいちばん新しいシングルだった。新しいサウンドを求めて、レオン・ラッセルにプロデュースを頼んでいる。強炭酸のスワンプ・ロックという感じで悪くないが、全米41位、全英24位と、あんまりヒットはしなかった。
↓ 「川の流れを見つめて（Watching the River Flow）」(1971)
↓ 「アイ・シャル・ビー・リリースト（I Shall Be Released）」