【ディランのアルバム全部聴いてみた 35枚目】
Bob Dylan “Under the Red Sky”
Bob Dylan “Under the Red Sky”
プロデューサーはウォズ (ノット・ウォズ)のウォズ兄弟とディラン自身。
せっかく前作の『オー・マーシー』で起死回生となったのに、またもや豪華アーティストの名前が列挙されただけの残念作に逆戻りだ。
セールス的にはそういうのは引きになるのかもしれないけれど、アルバムの出来とは関係ないものだ。そうやって集まった、なんの目的も方向性も共有していないベテラン・ミュージシャンたちが奏でているのは、出涸らしみたいに味がしない、どうしようもないほど空虚なロックンロールだ。
かろうじて聴けるのは、タイトル曲の「アンダー・ザ・レッド・スカイ」。
アル・クーパーがキーボードで参加した、60年代のフォーク・ロック風の曲だ。この曲にはジョージ・ハリスンが参加している。
ジャケットに写る49歳のディランは、疲れきった様子で荒野のような場所に座り込んでいる。
デビューから30年、彼はこの荒野に辿り着き、もうこれ以上行ってもなにもないことに気づいたかのようだ。
彼の長かった旅は、ここで一旦終わりを迎えたのだ。
Bob Dylan – Under the Red Sky (Official Audio)