ブラー/ゼアズ・ノー・アザー・ウェイ (1991)

【90年代ロックの快楽】
Blur
There’s No Other Way (1991)

ブラーの2ndシングルで、後に1stアルバム『レジャー(Leisure)』に収録された曲。

デビュー・シングル「シーズ・ソー・ハイ」が全英48位と不発に終わった後、2枚目のシングルで立候補したのがザ・スミスのプロデューサーだったスティーブン・ストリートで、彼がプロデュースしたこのシングルが全英8位と、ブラーにとって初めてのヒットとなった。以降、スティーブン・ストリートは、ブラーの5枚目のアルバムまで継続してプロデュースを務めることになる。

曲調はいかにも「1991年!」という感じの、当時のイギリスで大流行していた(でももう終わりかけていた)マッドチェスター風のダンス・ビートにオルタナ風ギターがカッコよく絡んだ、悪くない出来だ。

ブラーは、ヴォーカルのデーモン・アルバーンが書くひねくれた英国風変化球ソングと、グレアム・コクソンのオルタナ系ロー・ファイ・ギターとのぶつかり合いが個性となっているが、まだ1stアルバムの時点ではブラーの方向性は定まっていない印象だ。

わたしも当時はそれほど注目はしていなかった。なにしろあの1991年だ。とんでもない名曲・名盤が続々と生まれ、まだ研修中みたいなブラーどころではなかったのだ。

しかしその後、ダンス・ビートや轟音ギターの大流行が急速に収束すると、ブラーは英国ロックを次の展開へと牽引していく先導者へと成長していったのだった。

(Goro)