ニューヨーク出身のシンガー・ソングライター、ビリー・ジョエルは1971年にデビューした。
2ndアルバム『ピアノ・マン』が全米27位のヒットで出世作となり、5枚目のアルバム『ストレンジャー』で世界的ブレイクを果たした。
タイトル曲の「ストレンジャー」は日本でも洋楽としては異例なほど大ヒットし、わたしは当時小学生ながら、あの印象的な口笛のメロディをテレビやラジオでよく聴いたことを憶えている。
その後も彼らしい老若男女に愛される名曲・ヒット曲を連発し、1億5千万枚以上のレコード・CDを売り上げた、ポップス史上最も偉大な天才のひとりである。
そして、1993年には早々と「現役引退宣言」をし、その後はほぼ新曲を発表せず、彼の一生聴き続けても飽きない大量の名曲や同世代のアーティストたちへのリスペクトを込めたカバーで構成されたライヴで、現在の世界各地のホールやスタジアムを満員にしている。
そして今回あらためて全アルバムを聴き直し、今聴いてもやっぱり素晴らしいと思える名曲を絞りに絞って10曲を選んでみました。
以下は、わたしが愛するビリー・ジョエルの至極の名曲ベストテンです。[goro]
Honesty
6枚目のアルバムで初の全米1位に輝いた『ニューヨーク52番街(52nd Street)』からのシングル。全米24位のヒットとなった。
本国でのヒット以上に日本では人気の高いバラード曲で、ビリーの代表作として愛されている。
You May Be Right
『ストレンジャー』『ニューヨーク52番街』などのAOR的なテイストから一転してロック色の濃くした7枚目のアルバム『グラス・ハウス(Glass Houses)』のオープニングを飾るロックンロール・ナンバー。全米7位の大ヒットとなった。
日本でもなにかCMに使われてすごくヒットした。
あれはなんだっけな。カセットテープのCMだっけか。
2020年現在のライヴでも、アンコールの最後に歌われている。
Movin’ Out (Anthony’s Song)
5枚目のアルバム『ストレンジャー(The Stranger)』のオープニングを飾る曲。シングル・カットされ、全米17位のヒットとなった。
アルバムは、その後ビリーの黄金時代を築くことになるフィル・ラモーンのプロデュース作で、全米2位の大ヒットとなった。
2002年から上演されたビリーのヒット曲で構成されたブロードウェイのミュージカルのタイトルにもなっている。
Say Goodbye to Hollywood
4枚目のアルバム『ニューヨーク物語(Turnstiles)』は、それまでの西海岸から故郷のニューヨークへ活動の拠点を移した再スタート作。
この曲はアルバムのオープニングを飾る曲で、西海岸に別れを告げた曲だ。
このイントロの始まり方はその後、J-POPに競って取り入れられたフシがある。
このアルバムは全米122位と全然売れなかったけれど、しかしニューヨークに戻ったことは正解で、次作の『ストレンジャー』で大成功を収める。
The Stranger
大ブレイク作『ストレンジャー』のタイトル曲。
寂しげな口笛とピアノが印象的なイントロから、ドラマチックに展開が変わる実験的な作。
日本ではSONYのCMに使用されて、オリコンチャート2位という洋楽としては破格の大ヒットとなった。
ビリー自身もこの曲が日本で特別に人気のあることを知っていて、来日公演では必ず演奏するようにしていたそうだ。
Vienna
『ストレンジャー』収録曲。シングル・カットされてもいないし、ベスト盤にも収録されたこともないけど、わたしはこの曲がとても好きだ。歌詞も深い。
若い息子に対して父親が語り掛ける内容で、「なりたいものになろうとするのはいいが、なにをそんなに焦ってる? なにを怖がってるんだ? なにをしようが未来(ウィーン)はおまえを待ってるんだ」と、歌われる曲だ。
深すぎて簡単に説明できないし、野望に燃える青春真っただ中の若者には理解できないと思うけれど、わたしぐらいの老いぼれになってくると、そういう人生観もよくわかる。
My Life
『ニューヨーク52番街』からのシングルで、全米3位の大ヒットとなった。日本でもオリコン37位のヒットを記録した。
売れない芸人をしている友人の貧しい暮らしぶりを心配するが、友人は「裕福じゃないけど、この人生に満足してる、おれのことはほっといてくれ。チャンスなんていらないよ」と歌う。
シンプルなメロディなのに、一度聴いたら忘れられない名曲だ。
Uptown Girl
全体に50~60年代のポップス黄金時代風の明快さを思わせる9枚目のアルバム『イノセント・マン(An Innocent Man)』からのシングルで、全米3位の大ヒットとなり、イギリスでも初めてのチャート1位を獲得した。
楽しくないところが一瞬もない、全部がサビみたいな、圧倒されるようなすごい名曲だ。
PVもまた楽しい。
Just the Way You Are
『ストレンジャー』からのシングルで、全米3位の大ヒットとなった、ビリー・ジョエルの大ブレイク作。
大げさなところのない、流れるように自然で美しいメロディが心地よい。ポップソングの理想的な姿のように感じる。
友人から寝取ってしまった女性にビリーが捧げた、訳ありの歌だ。詳しくは過去記事を。
Piano Man
2ndアルバム『ピアノ・マン(Piano Man)』のタイトル曲。
ビリーにとって初めて全米チャート(25位)にランクインした出世作だ。
1stアルバムが売れず、ツアーも途中で打ち切られたため、ロスやサンフランシスコなど西海岸のクラブやバーでピアノを弾いて生計を立てていた頃の実話を歌詞にしている。
素朴なアレンジ、同じコード進行とほとんど同じメロディの繰り返しなのに、なぜか胸が熱くなる名曲だ。
はじめてビリー・ジョエルのアルバムを聴くなら、ベスト・アルバム『ビリー・ザ・ベスト(Greatest Hits Volume I & Volume II)』がお薦めだ。最初に聴くべき代表曲はすべて網羅されている。気に入ったら、『ビリー・ザ・ベスト 3(Greatest Hits Volume Ⅲ)』に聴き進めるといい。
以上、ビリー・ジョエル【名曲ベストテン】でした。
(by goro)