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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#360
Ash
“1977” (1996)
元気いっぱいの若者たちは、いつの時代もロック・シーンに必要な人材だ。
北アイルランドのバンド、アッシュは、ヴォーカル&ギターのティム・ウィーラーとベースのマーク・ハミルトンが18歳、ドラマーのリック・マックマーレイが20歳という若い三人組でデビューした。
ドラマー以外の二人はまだ高校生だったため地元で活動していたが、ブリット・ポップの波に乗せられてエラスティカの前座を務めたことで注目を集めた。その直後にはグリーン・デイの前座のオファーがあったが、「試験があるので」と断ったという逸話がある。
アルバム・タイトルの『1977』はバンドの中心人物の二人が生まれた年であり、彼らが心酔する映画『スター・ウォーズ』が公開された年であり、そして英国でパンク・ロック・ムーヴメントが起こった年だ。
本作は、放課後や学校が休みの期間を利用して制作され、1996年5月にリリースされた。
以下、カッコ内は全英シングル・チャートの順位。
【オリジナルCD収録曲】
1 ルーズ・コントロール
2 ゴールドフィンガー(5位)
3 ガール・フロム・マーズ(11位)
4 アイド・ギヴ・ユー・エニシング
5 ゴーン・ザ・ドリーム
6 カン・フー(57位)
7 オー・イエー!(6位)
8 レット・イット・フロウ
9 イノセント・スマイル
10 エンジェル・インターセプター(14位)
11 ロスト・イン・ユー
12 ダークサイド・ライトサイド
アルバムは全英1位に輝き、世界で100万枚を売る大ヒットとなった。
SF的な歌詞の「ガール・フロム・マーズ」「エンジェル・インターセプター」や、憧れのジャッキー・チェンに捧げた「カン・フー」、夏の終わりの恋を歌った「オー・イエー!」など、いかにも十代の少年らしいテーマを歌い、パンクやグランジをお手本にした爆発するようなラウドなサウンドはいかにも若々しいが、さらにフロントマンのティム・ウィーラーは「試験勉強の合間に名曲を書いた」と称賛されるほどの天才メロディ・メーカーでもあった。
ブリット・ポップ・ムーヴメントからは、ただ元気いっぱいにはしゃいでるだけの若造のバンドも多かったが、アッシュはそうではなかった。若いのにしっかりした仕事の出来る、有能なバンドだったのだ。
最初に聴いたときにわたしがすぐに思い出したのはティーンエイジ・ファンクラブだったが、アッシュには若々しいスピード感があり、よりエネルギッシュだが、同時に繊細で瑞々しさが溢れている。
今年でデビューから32年が経ち、彼らもアラフィフになったが、今日まで一度も解散せず、昨年10枚目のアルバムをリリースして全英15位まで上昇するなど、現在も現役バリバリである。
↓ 火星から来た少女との思い出を歌った初期の代表曲「ガール・フロム・マーズ」。静かなAメロと爆発するサビという、彼らが心酔したニルヴァーナをお手本にした構成で、どこかノスタルジックなメロディが耳に残る。、全英11位のヒットとなった。
↓ SFオタクのアッシュらしい「エンジェル・インターセプター」は60年代のイギリスのSF人形劇『キャプテン・スカーレット』に出てくる女性パイロット専用の迎撃戦闘機の名前から取られている。極上のポップ・センスとスピード感あふれる曲で、全英14位のヒットとなった。
(Goro)

