アバ/ダンシング・クイーン (1976)

Dancing Queen - Wikiwand

【70年代ポップスの名曲】
ABBA
“Dancing Queen” (1976)

小学校6年のとき、毎週楽しみに見ていたTBSの『ザ・ベストテン』でわたしはアバを初めて見た。1978年の11月のことである。「今週のスポットライト」のコーナーに出演し、彼らはこの「ダンシング・クイーン」を歌った(口パクだったと思うけど)。

「ダンシング・クイーン」はそのおよそ2年前、1976年8月にシングル・リリースされ、全米1位、全英1位をはじめ、世界13カ国でチャート1位を獲得した。全世界で300万枚、日本でも50万枚を売る、世界的ヒットとなった。

当時のわたしは沢田研二のファンで、それ以外もほぼ歌謡曲しか聴いていなかったので、そんな世界的なヒット曲さえ知らなかった。けれども、『ザ・ベストテン』でアバを見てから興味を惹かれ、ラジオの洋楽チャート番組なんかも聴くようになった。

ただし、わたしはダンス・ミュージックは今も昔もそれほど好きではない。踊るための実用本位みたいなのは特にだ。わたしは根がロマンチストなので、実用より趣味用の「ポップ・ソング」が好きなのだ。

アバの曲にも実用面を強調しすぎたつまらないものもあるにはあるけれども、しかし「ダンシング・クイーン」などは、実用としても不足はないだろうが、そのまえに完璧な「ポップ・ソング」である。わたしはこの曲を史上最高のポップ・ソングと言い切ってしまってもかまわないとさえ思う。

小学生のわたしが、TVで偶然出会った洋楽がこの「ダンシング・クイーン」だったことは、わたしにとって幸運だったと思う。

きっと神様が、「おまえは怠け者で頭の出来も悪いのでろくでもない人生を送るにちがいないが、退屈ぐらいはしのげるように音楽を聴く楽しみを与えておこう」と言って『ザ・ベストテン』経由で「ダンシング・クイーン」を聴かせたのではないかと思っている。

たしかにわたしはそれ以来、どれほどひどい状況であろうと、ありがたいことに退屈だけはしなくて済んでいる。

(Goro)