オーティス・レディング/この強き愛 (1965)【’60s Soul Masterpiece】

THE GREAT OTIS REDDING SINGS SOUL BALLADS [LP] [Analog]

【60年代ソウルの名曲】
Otis Redding
That’s How Strong My Love Is (1965)

わたしは30歳になるまでソウルミュージックという音楽をほとんど聴いていなかったのだけれども、なにかの気まぐれでオーティス・レディングのCDを買ってみたのがきっかけになった。
オーティスの声も良いが、やけにベースが存在感を主張するその異様なバランスのサウンドが面白いと思い、オーティスから始まってそれから2年ぐらいはソウルとR&Bばかりを聴き漁った思い出がある。

「おれの愛はなんて強いんだろう!」と、自分で自分の愛の強さに感嘆している、いかにもオーティスのイメージにぴったりな代表曲だ。わたしはオーティスの曲の中ではこれがいちばん好きだ。

このシングルの発売が1965年の1月なのだけれども、ローリング・ストーンズはちょうどそのとき制作中だった3rdアルバム『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』で早速カバーしている。

その前のアルバム、『ザ・ローリング・ストーンズ No.2』でもその年にリリースされたばかりのオーティスの「ペイン・イン・マイ・ハート」をカバーしているし、よほどお気に入りだったのだろう。ミック・ジャガーのヴォーカルからは、オーティスへのリスペクトもモロに感じられる。

そしてそのオーティスのほうも、「じゃあおれも」みたいな感じで、ストーンズの「サティスファクション」を次のアルバムでカバーすることになる。
イギリスとアメリカで海を挟みながら、お互いにリアルタイムでカバーし合うなんて、今の時代にはありえないことだ。
しかも黒人のソウル歌手と白人のロックバンドである。
なんて素晴らしい。

十代の頃に大好きでよく聴いたRCサクセションのアルバム『楽しい夕に』に収められている「去年の今頃」という歌に、

二人でこたつで 紅茶を飲もうよ
オーティスのレコードを聴きながら ガッガッウッ
(作詞:忌野清志郎 作曲:肝沢幅一)

という歌詞があって、わたしはオーティスを聴くのが昔からの、ちょっとしたあこがれでもあったのだった。

That's How Strong My Love Is

↓ ローリング・ストーンズによるカバー。ミックのモノマネが上手い。

That's How Strong My Love Is (Remastered 2002)

(Goro)