ザ・ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967)【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#111

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Remastered)

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#111
The Beatles
“Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band” (1967)

1967年5月にリリースされた、ビートルズの8枚目のアルバムである。

英国アルバムチャートで23週連続1位、米国でも16週連続1位となり、現在までに全世界で3,200万枚以上を売り上げた、ビートルズの代表作であり、最高傑作と誉高い名盤である。

異論はない。

ただし。

このアルバムの制作は、ポールが「架空のバンドの公演」というコンセプトを思いついたことから始まり、それらしいタイトル曲と、それらしいアルバムジャケットによって「コンセプト・アルバム」の代表的な作品として知られているが、実のところ、他の収録曲はそんなコンセプトとはほとんど関係がないという。ジョンによれば、「そんなコンセプトのアルバムになるとは知らずに書いた曲を提供しただけ」と暴露もしている。

それでもこのアルバムを聴いたときに感じる全体のまとまりは、その全体を貫く、なんとも言えない「多幸感」によるものではないかと思う。

驚きも安心もある、美味い創作料理のフルコースみたいなものだ。途中でやめられない。やめたくない。

1stアルバムは1日で録音したビートルズだったが、このアルバムの録音には4ヶ月をかけている。

4ヶ月かけ、当時はまだ4トラックしかなかったレコーダーを2台使い、実験に実験を重ね、サウンドを磨き上げ、楽曲の推敲を重ね、出来上がったのがこの究極のポップ・アートと言うべき音楽作品だったのだ。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
2 ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ
3 ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
4 ゲッティング・ベター
5 フィクシング・ア・ホール
6 シーズ・リーヴィング・ホーム
7 ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト

SIDE B

1 ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー
2 ホエン・アイム・シックスティ・フォー
3 ラヴリー・リタ
4 グッド・モーニング・グッド・モーニング
5 サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド (リプライズ)
6 ア・デイ・イン・ザ・ライフ

ポールのコンセプトのアイデアから始まったアルバムなので、やはりポールの色が濃いが、しかしジョンのA3「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」とB6「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」がもし入っていなければ、このアルバムをビートルズの最高傑作だという人はほとんどいなくなるだろう。それほど強烈な印象を残す2曲だ。

「ノルウェイの森」以来、ジョージがしつこく弾く(失礼)シタール入りの楽曲ではこのB1「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」は一番良い出来に思えるし、リンゴがヴォーカルをとるA2「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」はわたしは何度聴いても、この曲を初めて聴いて呆然としたあの瞬間を思い出すほどだ。

もう40年近く前、当時はストーンズばかり聴いていた十代の終わり頃のとんがりまくったわたしは、「女子供向けのビートルズなんて聴く気にもならんが、まあこのやたらと有名らしいサージェントなんとかとやらは一応聴いてみるか、どうせくだらないだろうけど」と思いながら聴き始め、この2曲目が始まるとわたしの威勢の良さも急速にしぼみ、その純朴で美しい歌にシンプルに感動し、すっかり陥落してしまったものである。

↓ リンゴが歌うA2「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」。

With A Little Help From My Friends (Remastered 2009)

↓ そうは言ってもアルバムのハイライトはやはりB6「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」だ。

The Beatles – A Day In The Life

(Goro)