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Teenage Fanclub
“Bandwagonesque” (1991)
ティーンエイジ・ファンクラブは英スコットランド出身のバンドだ。彼らは1990年にデビューした。今から34年も前のことだ。そして今も現役である。
彼らのソングライティングの素晴らしさや、そのオリジナリティからしたら、もっと売れて、もっと有名であっても良いと思うのだけど、なぜかそうはならない。根強いファンはいるのだけれども。
決して、聴く人が限られるような極端な音楽ではない。一度聴いただけで歌メロが覚えられる、キャッチーな音楽性こそが彼らの最大の武器だ。それでもいまいち本格的なブレイクもせずに34年も経ってしまった。
ザ・バーズ風のフォーク・ロックに、ニール・ヤング&クレイジー・ホース風のノイジーでラフなギターサウンドを加え、ゆるいヴォーカルとゆるい演奏技術のパワー・ポップだ。
わたしにとっては最高だが、あまりイギリスらしくもなく、でもアメリカでもないという、どっちつかずの中途半端さが仇となった気もする。
そのうえ彼らには、ニール・ヤングが一貫して持ち続けている攻撃性や意識の高さもない。彼らの歌詞はまるでT.レックスのようになんの主張も意味も込められていない。彼らには言いたいことなどなにひとつないかのようだ。
ファッションにもなんのこだわりも感じられないし、メンバーにあまりに個性がないため顔が覚えられない。そもそもフロントマンと呼べる人物がいない。それどころかドラマー以外の3人は、曲によってギター、ベース、ヴォーカルを交代して、本来だれがどのパートなのかすらはっきりしない。
要するにロックスターの要素が皆無の、生まれつき華の無いロックおたくたちである。女性ファンがキャーキャー言うこともないだろうし、男性ファンが憧れの対象として見るということも無さそうだ。
もしバンドをやっていなかったら、誰も見向きもしないような、パッとしない、普通の奴らなのだ。
でも好きだ。
て言うか、だから好きなのだ。
本作は1991年11月にリリースされた、ティーンエイジ・ファンクラブの2ndアルバムである。名曲揃いの名盤であり、彼らの最高傑作である。
カート・コバーンも、リアム・ギャラガーも、ティーンエイジ・ファンクラブが大好きだった。わたしも大好きだった。この3人に認められればもうお墨付きのはずだ。
言いたいことがなにもない、というのもいいじゃないか。実際それが本当のところだ。
わたしたちの少し退屈な日常、少し楽しい日常、少し残念な日常、少し刺激的な日常、少し真面目な日常、そんなありふれた日常の肯定的なBGMにぴったりの音楽だ。
わたしは彼らから「力を抜いて楽しく頑張る」という生き方を学んだ気がする。
彼らの音楽を聴くといつでも、「よし! ほどほどに頑張ろう!」という、そこそこに熱い気持ちになれるのだ。
↓ 米オルタナ・チャート4位という彼らにとってキャリア最高位を記録した、アルバムからのシングル「スター・サイン」。
↓ 米オルタナ・チャート12位の名曲「ザ・コンセプト」。「コンセプトが無いのがコンセプト」という彼ららしい名言が残されている。
(Goro)