今回の【思わずジャケ買いしたくなる】シリーズは、〈インパクトが凄い顔ジャケ〉を集めてみました。
いつものように、ランキングは中身の音楽の評価ではなく、ジャケット・アートワークのみの評価です。評価の基準はわたくしゴローの変態的な好みと、頼りない美的センスによる独断となっています。
あまりのインパクトに、ちょっと聴いてみたくなった人のために、試聴できるリンクも貼っておきますので、気になったらぜひ聴いてみてください。
先に言っておくと、1位に輝いたアルバムだけは、中身も大傑作、ロック史上に残る名盤であることを保証します。
『アイ・ゲット・ウェット〜パーティー・一直線!』(2001)
Andrew W.K. – I Get Wet
ヘヴィなロックサウンドでパーティー・チューンを歌い「パーティー馬鹿」と呼ばれたアンドリューW.K.の1st。
全米84位だが、日本ではオリコン39位まで上がる、洋楽としてはヒット・アルバムとなった。その要因の半分ぐらいはジャケのインパクトがあったんじゃないかと思う。
『Ⅲ』(1980)
Peter Gabriel – Peter Gabriel (Melt)
デザインチーム、ヒプノシスの傑作として名高いアートワーク。
実はピーター・ガブリエルの最初の3枚にはアルバム・タイトルが無いのだけど、日本では「Ⅲ」、欧米のファンの間では顔が溶け出しているデザインから「Melt」と呼ばれている。
全英1位、全米22位。
『英吉利の薔薇』(1969)
Fleetwood Mac – English Rose
初期のベスト盤的選曲でアメリカで発売された編集盤。日本ではこれがフリートウッド・マックのデビュー盤となった。
「English Rose」とは、日本で言う「やまとなでしこ」のような、イギリス人らしい美女のことを言うのだそうだ。
『アンチクライスト・スーパースター』(1996)
Marilyn Manson – Antichrist Superstar
全米3位のヒットとなった、マリリン・マンソンの3rdアルバム。
マリリン・マンソンのアートワークはだいたい全部気持ち悪いが、これのインパクトは凄い。怖すぎる。顔が半分しか映ってないところが逆に想像を掻き立てて、さらに怖い。
『サッド・カフェⅡ』(1978)
Sad Café – Misplaced Ideals
英マンチェスターで結成され、1977年にデビューした、元プログレミュージシャンたちによるAORポップス系のバンド。当時はそんな転職組が多かった。
当時は、「世界一グロテスクなジャケット」と言われ、日本では黒いカバーが掛けられて売られたほどだったが、後におしゃれなデザインに変更された。
『レベル・ハート』(2015)
Madonna – Rebel Heart
マドンナの13枚目のオリジナル・アルバム。全米2位、オリコン8位。
さすがマドンナ、こんなお笑い芸人みたいなことをしても、スタイリッシュでユーモラスな美しいジャケットになるのが凄い。そして「Bitch I’m Madonna」と歌う。さすが、聖母を超えた、邪悪な女神だ。
『頭脳警察Ⅰ』(1972)
ZUNO KEISATSU – ZUNO KEISATSU 1
日本代表はこの頭脳警察のデビュー盤を選出。
1968年に起きた3億円事件の犯人とされた、史上最も有名なモンタージュ写真をジャケに使い、楽曲は「世界革命戦争宣言 」とか「赤軍兵士の詩」とか、左翼のアジテーションみたいな内容で、一瞬にして発禁になった、幻のアルバムだ(現在はインディーズから紙ジャケで発売されている)。
この犯人は結局捕まっていない。
きっと、こんな人は実在しないのだ。
『リチャード・D・ジェイムス・アルバム』(1996)
Aphex Twin – Richard D. James Album
エイフェックス・ツインは、本名をリチャード・D・ジェイムスという、イギリスのテクノ・エレクトロニカ系のアーティストだ。
90年代に活躍した、テクノ界隈ではレジェンド中のレジェンドの、有名なアルバムである。
『心の友』(1969)
Joe Cocker – With a Little Help from My Friends
イギリスの超熱唱型シンガーの、ジャケも歌唱もインパクトがありすぎる1stアルバム。
彼がこの曲を全身全霊で歌う激アツパフォーマンスは、世界的に大ヒットした映画『ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間』のハイライトとも言えるシーンとなり、一躍ジョー・コッカーの名を世界に轟かせることとなった。
『クリムゾン・キングの宮殿』(1969)
King Crimson – In the Court of the Crimson King
「プログレッシヴ・ロック」というジャンルの扉を開いた記念碑的作品。中身も素晴らしい超名盤。
アートワークを手掛けたのは画家のバリー・ゴッドバーという人で、彼が鏡を見ながら描いた自画像なのだそうだ。ああ、だから横目になってるのか。
これがプログレのアートワークのお手本となり、プログレ選手たちはその後、音楽もさることながら、ジャケのインパクトや美しさや変テコさでも競い合うことになった。
最近は音楽なんてサブスクで聴くのがあたりまえになってきてるので(実はわたしもそうだ)、「ジャケ買い」という概念すら若者は知らないのかもしれない。
でも、もしもこの中で気に入ったものがあれば、ぜひ「ジャケ買い」というロックの醍醐味を試してみてほしいものだ。
そうやって、聴く音楽の幅が広がっていくものだし、自分の直感を信じてジャケ買いしてみたら中身も気に入ったっていうレコード(CD)は、生涯のフェイヴァリット・アルバムにもなるはずだから。