日本でも熱狂的な支持! 〜クーラ・シェイカー『K』(1996)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#363

K

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#363
Kula Shaker
“K” (1996)

「ブリット・ポップ・ムーヴメント!」などと当時はカマビスしかったけれども、オアシスとブラー以外はどうにも小粒感が否めなかったブリット・ポップ勢の中から、頭ひとつ抜けた大物感と独自の音楽性で一気に注目を集め、シーンを席巻したのがクーラ・シェイカーだった。

フロントマンで、全曲のソングライターでもあるクリスピアン・ミルズは、インド文化や東洋哲学に傾倒した仏教徒で、クーラ・シェイカーという名前も9世紀のインドの王の名前に由来しているそうだ。

音楽にもインド音楽の要素が取り入れられ、それが独特のグルーヴ感を生んでいる一因でもある。全体的にはビートルズなどの60年代のサイケデリック・ロックにハード・ロックの要素や、ダンサンブルな要素を少々加えたようなイメージだ。

本作はクーラ・シェイカーの1stアルバムとして、1996年9月にリリースされた。カッコ内は全英シングル・チャートの最高位。

【オリジナルCD収録曲】

1 Hey Dude(2位)
2 Knight on the Town
3 Temple of Everlasting Light
4 Govinda(7位)
5 Smart Dogs
6 Magic Theatre
7 Into the Deep
8 Sleeping Jiva
9 Tattva(4位)
10 Grateful When You’re Dead / Jerry Was There(35位)
11 303
12 Start All Over
13 Hollow Man (PTS. 1 & 2)

いきなりオープニングの「Hey Dude」のザクザクと前のめりに刻む疾走感のあるイントロにシビれるが、続く「Knight on the Town」でも豪快に暴れるギターとイケイケのベースが畳み掛ける。そのカッコ良さに呆然とさせられる。

もうこの時点でこれがとんでもないアルバムだと気づくが、その後もしっかり耳に残る歌メロや、切れ味鋭いギターとベースを中心にしたスピード感のあるグルーヴで、クオリティの高い楽曲が最後まで続き、まったく飽きさせない。

アルバムについてクリスピアン・ミルズは次のように語っている。

「ブリット・ポップは『英国人であること』を誇りにしていたけれど、僕らはもっと普遍的なアイデンティティを求めていた。国旗なんて関係ないと言ったら、みんなに殺されそうになったよ(笑)」(音楽情報サイトDrowned in Sound)

アルバムからは4曲のシングル・ヒットが生まれ、アルバムは英国における「デビュー作として史上最速の売り上げ」の記録を塗り替え、全英1位に輝いた。英国で60万枚、米国で25万枚、そして日本でもオリコン総合13位まで上昇するヒットとなり、25万枚を売り上げた。

しかしそれにしても、日本でものすごく人気が高かったのがわたしには意外だった。ストーン・ローゼスにもブラーにもスウェードにも、日本のロック・ファンは当時の英国勢に対してやけに冷たい印象があったのだけれど、クーラ・シェイカーはなぜか驚くほど人気があり、CDもよく売れたのだ。

なんだろう、仏教徒の血が騒ぐ「仏教グルーヴ」みたいなものでもあるのだろうか。

その後もクーラ・シェイカーの日本での人気は続き、2ndアルバムは日本では14万枚を売るも、英国で10万枚と前作を大きく下回った。完璧主義者のクリスピアンは何度もレコーディングをやり直したため、アルバム制作の出費が莫大なものに膨らむなどバンドは機能不全に陥り、1999年9月に解散した。衝撃のデビューからわずか3年後のことだった。

2006年に再結成してフジ・ロックに出演すると、イギリスよりも日本で人気が再燃し、再結成後の3rdアルバムは日本先行発売、その後もフェスの出演や日本ツアーを何度も行い、2023年にはオリジナル・メンバーでも来日公演を行っている。

↓ 2ndシングルとしてリリースされ、彼らにとってブレイク作となった「Grateful When You’re Dead」。95年に死去した、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアに捧げられている。

↓ 全英2位となる大ヒットで、彼らの名前を広く知らしめた「Hey Dude」。ハモンドオルガンと歪んだギターが主導する、ディープ・パープルなど60年代末のハード・ロックを想起させるような初期の代表曲だ。

(Goro)

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