【100グレイテスト・ソングス】#37
The Rolling Stones – It’s Only Rock ‘N’ Roll (But I Like It)
1974年のアルバム『イッツ・オンリー・ロックンロール』のタイトル曲。
ストーンズの黄金時代というと1968年の『ベガーズ・バンケット』から1973年の『山羊の頭のスープ』までの、ジミー・ミラーがプロデュースした時代のことを言うことが多い。わたしも同感である。
その黄金時代が終わって最初のアルバム、という言い方もなんだが、ミック&キースの初プロデュース作がこの『イッツ・オンリー・ロックンロール』で、そうは言っても、同時代の凡百のロック・アルバムに比べれば、名盤と呼んでもまったく差し支えない内容だ。
タイトルが示すように、前作までの米国南部ルーツ・ミュージック指向に比べて、よりシンプルなロックンロールに回帰した内容となっている。
1974年という時代は、グラム・ロックがやや落ち着いて、パブ・ロックが秘密裏に活動を活発化し、そろそろパンク革命前夜という頃なので、言わばストーンズはパブ・ロック連中と同じようなタイミングでロックンロール回帰していたと言える。
なので、このアルバムは、ストーンズによるパブ・ロック・アルバムと言えるかもしれない。
歌詞の内容は、ロックスターという子供だましのモンキー・ビジネスを皮肉っぽく描きながらも、「たかがロックンロールだけど、それが大好きなんだ」と、ロックンロールへのビュアな愛に変わりはないことを歌った歌だ。
PVは、バンドに人工的な泡が押し寄せていく演出だが、歌いながらだんだん泡が増えて不安そうな表情のミックと、完全に泡に埋もれてしまってあわてて脱出するチャーリー・ワッツが面白い。