キンクス【名曲ベストテン】 KINKS Best 10 Songs

Ultimate Collection

キンクスは英ロンドン北部マスウェル・ヒルで、レイとデイヴのデイヴィス兄弟を中心に結成され、1964年にデビューした。

ビートルズ、ストーンズ、ザ・フー、そしてキンクスは、当時「4大ブリティッシュビート・バンド」と呼ばれた。

残念ながら現在では、ビートルズ、ストーンズ、フーに比べると、若干影が薄いのかもしれない。いや「若干」ではなく、たぶん「断然」だ。

しかし、ロックの全歴史を通じても、「いちばんイギリスらしいロックバンド」と言ったら、わたしは真っ先にキンクスを思い浮かべてしまう。

その世界観も音楽性も良い意味でひねくれていて、実験性に富んでいるのにあくまでポップで、根底は叙情的でノスタルジック。

現在にまで至る英国ロックの特長である、フックのあるメロディや泣きメロは、実はこのキンクスが発祥と言っても過言ではないのではないかと思っている。

わたしは根っからの女々しい性格なので、どうしてもそういう曲に食いつきやすいのだ。

ここでは、そんなキンクスのわたしが愛する名曲ベストテンを選んでみた 。

第10位 エンド・オブ・ザ・デイ
Till the End of the Day(1967)

1965年11月にリリースした3rdアルバム『キンク・コントラヴァーシー』の先行シングルとしてリリースされ、全英8位のヒットとなった曲。

レイ・デイヴィスが1ヶ月も曲が書けず、その重圧に悩まされていた時に書いた曲で、「奴隷や囚人についての歌で、何かから逃げること、自由についての歌だけれども、それが自分の心の状態について歌っていることに気づいていなかった」と語っている。

第9位 見知らぬ人
Strangers(1968)

1970年発表の8枚目のアルバム『ローラ対パワーマン,マネーゴーラウンド組第一回戦』収録曲。レイ・デイヴィスの弟、ギタリストのデイヴ・デイヴィスが書いた曲で、ヴォーカルもデイヴだ。

ドラッグの過剰摂取で亡くなった学生時代の友人について歌った切ない歌だ。

第8位 セルロイドの英雄
Celluloid Heroes(1972)

1972年のアルバム『この世はすべてショー・ビジネス』に収録された、ハリウッドへの憧れを描いた、どこか気品を感じさせるような名曲だ。

マリリン・モンロー、グレタ・ガルボ、ベティ・デイヴィス、ベラ・ルゴシ、ルドルフ・ヴァレンティノなど、古き良き時代のフィルム・スターたちの名前がたくさん出てくる。そんなスターたちの名声と苦悩、ショー・ビジネスでの成功と失敗について歌われている。

第7位 ローラ
Lola(1970)

1970年の名盤『ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組第一回戦』からのシングルで、全英2位、全米9位の大ヒットとなった。

田舎者の童貞君がローラと名乗る怪力の女に逆ナンされて男になるが、ローラは実は男だった、というユーモラスな歌詞だ。

第6位 ヴィクトリア
Victoria(1969)

1969年リリースの7枚目のアルバム『アーサー、もしくは大英帝国の衰退並びに滅亡』のオープニング・トラック。

「ヴィクトリア」は19世紀末大英帝国のヴィクトリア女王のことで、イギリスが世界中に植民地支配を拡大していた頃の女王である。皮肉屋のレイ・デイヴィスがどんなつもりで歌っているのか知らないが、わたしは変に深読みはせず、古き良きイギリス人の想いが肯定的に描かれているものと捉えている。

第5位 思い出のスクール・デイズ
Schooldays(1975)

キンクスの18枚目のアルバム『不良少年のメロディ~愛の鞭への傾向と対策』の冒頭を飾る曲だ。アルバムは「学校」をテーマにしたコンセプトアルバムで、アメリカのオールディーズ風の曲が多くを占めている。

キンクスは泣ける名曲の宝庫だけど、この曲はその筆頭に挙げられるものだ。この曲をキンクスの名曲に挙げる人はたぶんあんまりいないが、それはきっと知られていないだけで、こんな素晴らしい曲をいつまでも「隠れた名曲」扱いしていてはいけないと思う。

第4位 ユー・リアリー・ガット・ミー
You Really Got Me(1964)

3枚目のシングルとして発売され、全英1位、全米7位という大ヒットなった、キンクスで一番有名な曲。

レイ・デイヴィスがキングスメンの「ルイ・ルイ」を弾いていて思いついたディストーション・ギターのリフだけでほぼ出来ているこの曲は、その後のハード・ロック~ヘヴィ・メタルの元祖と言われたりもする。

歪んだギターの音は、デイヴ・デイヴィスがギターアンプに剃刀で傷をつけてあえてひび割れた音にしたそうだ。

第3位 ストップ・ユア・ソビン
Stop your sobbin’(1964)

1964年のキンクスの1stアルバム『キンクス』の最後に収録された曲。

シングル・カットすらされていないけど、「これぞレイ・デイヴィス!」と言いたくなるようなソングライティングが素晴らしい。また、その後の英国ロックにも綿々と引き継がれていく、「せつない系」「泣きメロ」という路線の、起源となった楽曲でもあると思う。

この曲のカバーをデビュー・シングルに選んだプリテンダーズのセンスにシビれる。

第2位 ウォータールー・サンセット
Waterloo Sunset(1967)

1967年5月にシングルとして発売され、全英2位の大ヒットとなった、極上の名曲だ。

窓から外を眺めて暮らしているだけの、ニートみたいな孤独な男の歌だ。純粋なのにどこか傷ついた心を持っているこの男に、いったいなにがあったのかはわからない。

ウォータールーがどんなところか知らないけれども、美しい夕陽に包まれた古い町並みを思い描いてしまう、美しい曲だ。

第1位 サニー・アフタヌーン
Sunny Afternoon(1966)

1966年6月にシングルとしてリリースされ、全英1位、全米14位の大ヒットとなった。「泣きメロキンクス」の代表曲だ。

豪邸に住んでいる金持ちが税務署に財産を全部持っていかれ、やることがないのでビールをのみながら午後の陽だまりでダラダラしながら、「あー、ラクして生きてー」って言ってる歌なのだそうだ。

後に日本において「およげ!たいやきくん」として生まれ変わった、という説もある。

以上、キンクス【名曲ベストテン】でした。

やっぱり泣きメロに偏ったな。

(Goro)

コメント

  1. アイアイ♪ より:

    キンクスは沼みたいなバンドですから、選曲がホントに難しいですよね。
    Dedicated Follower of FashionやAutumn Almanac辺りも大好きです!

    • Goro より:

      アイアイ♪さん、コメントありがとうございます!

      そうなんですよ、あんまり売れてないバンドなので(笑)、ヒット曲や有名曲は少ないけれども、隠れた名曲が多いんですよね。

      今回はできるだけ有名どころを中心に選んでみました。