ブリトニー・スピアーズ/ウップス!…アイ・ディド・イット・アゲイン (2000)

Oops!... I Did It Again (song) - Wikipedia
【2000年代ポップスの快楽】
Britney Spears
Oops!… I Did It Again (2000)

当時間違いなく「時代の顔」であったティーンエイジャー、ブリトニー・スピアーズの1年半ぶりの2ndアルバム『ウップス!…アイ・ディド・イット・アゲイン』からシングル・カットされたタイトル曲。全米9位の大ヒットとなった。

スウェーデンのヒット職人マックス・マーティンによる2000年型商業ポップスは、そのわざとらしいほどの人工的な作りが潔く、それがわたしには逆にクールに思えたものだ。

アメリカには日本みたいに《アイドル》というジャンルが無いので、歌手は基本的には歌の実力で世に出ることになる。

だからたまたま容姿もキャッチーな歌手が出てくると、爆発的な人気を博すことになる。

アイドルスターの需要はあるのに、慢性的な供給不足だからだ。

慢性的なアイドル供給過多の日本とは、そこは真逆である。

当時16歳のブリトニー・スピアーズほどの上玉はアメリカのポップ・シーンでも最高ランクだったのだろう、ティーンエイジャーを中心にお祭り騒ぎとなり、デビュー曲の「ベイビー・ワン・モア・タイム」はいきなり全米1位となった。

この「ウップス!…アイ・ディド・イット・アゲイン」も「ベイビー・ワン・モア・タイム」とほとんど同じような曲だけれども、人工的な進化がさらに進み、よりクールである。

ブリトニーの歌唱はソウルフルでもなければカントリー風でもロック風でもなく、ゴニョゴニョと寝起きみたいな、舌足らずみたいな、なんならちっとも歌ってないみたいなスタイルはなかなかの衝撃だった。このスタイルは2000年代米国のティーンエイジ・ポップやK-POP、そしてJ-POPにも引き継がれていく。

あらためてMVを見ても、人工性を強調しているような造りはユーモラスでもあり、キレの良いダンスは曲を華やかに飾り立て、4分間に凝縮された本場のエンターテインメント、といった趣である。

しかしちょうどこの頃、ブリトニーはジャスティン・ティムバーレイクと恋愛関係となり、彼女の自伝によれば、妊娠もしている。ジャスティンが出産を望まなかったために中絶してしまったようだが、以降、この稀代のポップスターは結婚・離婚を繰り返し、薬物やアルコールの問題や奇行、などでネガティヴな意味での注目を集めるなど、浮き沈みの激しい人生を送ることになる。

十代の頃から常に注目を浴び、パパラッチに囲まれ、激しい毀誉褒貶にさらされ、巨万の富を生む商品として周囲の大人たちから常に期待とプレッシャーをかけられる、そんな環境でまともな人生や心安らぐ生活が送れるはずもなかろうと、彼女のスキャンダルを聞いたり、坊主頭や太った姿を見たりするたびにあまりに痛々しく、見てられないような気持ちになったものである。可哀想なブリトニー!

そう思うとあらためて、同じような状況だったはずなのにすべてを跳ね返して女王の座に君臨し続けたあのマドンナってのは本当にすげーなと思わざるを得ないのである。

(Goro)