Blondie
Call Me (1980)
なんとなくフェイクな香りがするのがまたブロンディの魅力だとわたしは思っているのだけど、この曲もまた、ロックのようでもあるし、全然そうでないとも言える、しかしそのどっちつかずが功を奏して万人に支持されたという不思議な曲だ。
1980年の米映画『アメリカン・ジゴロ』の主題曲に使用されたこの曲は、音楽監督を務めたジョルジオ・モロダーが用意したトラックに、彼のオファーによってデボラ・ハリーが歌詞を付けたものだ。
ジョルジオ・モロダーと言えば70年代にディスコ・ミュージックを数多く手がけて「ディスコの父と呼ばれ、80年代には『フラッシュダンス』や『ネバーエンディングストーリー』『トップガン』などを手掛けた超売れっ子音楽プロデューサーだ。
たしかに「コール・ミー」もそのわかりやすいメロディやギンギラギンのアレンジはいかにもプロフェッショナルな感じだ。一見ハードなロックンロール風だけど、当時全盛のディスコでも違和感なく受け入れられるような作りはさすがその道のプロだなと思わせる。
ちなみにブロンディのメンバーはレコーディングに参加したものの、映画との同期がうまくいかず未完のまま中断し、後にモロダーによって、ヴォーカル以外のパートはセッション・ミュージシャンの演奏に置き換えられた。
バンドは憤慨したものの、シングルは全米1位、全英2位をはじめ世界的ヒットとなり、1980年の年間チャートでも全米1位と、ブロンディにとって最大のセールスとなったため、文句も何も飲み込むしかなかったという。
(Goro)