ザ・キンクス/思い出のスクールデイズ (1975)

Schoolboys in Disgrace

【70年代ロックの名曲】
Kinks
Schooldays (1975)

キンクスは愛おしいバンドだ。こんな曲を聴くとあらためてそう思う。バンドを無形文化財として、国家が保護すべきだと思う。

なにしろあの名高き名盤、1968年の『ヴィレッジ・グリーン』すら全英47位までしか上がらず、しかもそれを最後に、彼らのアルバムは英国のチャートには一切かすりもしていない。

「最も英国らしいバンド」などと海外では評価されながら、その本国では早々と忘れられた存在になってしまったのだ。

この曲はキンクスの18枚目のアルバム『不良少年のメロディ~愛の鞭への傾向と対策 (Schoolboys in Disgrace)』の冒頭を飾る曲だ。アルバムは「学校」をテーマにしたコンセプト・アルバムで、当時でもすでにレトロな、アメリカのオールディーズ調の曲が多くを占めている。

そのせいかアメリカでは全米アルバムチャート45位と、キンクスにしては高セールスの方だったのだが、本国イギリスではもちろんチャート入りしていない。それどころか、批評家の評価も低く、アルバムジャケットなどはNME誌の「史上最悪のアルバムジャケット50選」にも選ばれたほどだ。

コンセプト・アルバムなどという60年代に流行したスタイルをひたすら作り続けるレイ・デイヴィスという男も、さながら時代の変化などまったく気にも留めない、頑固で一徹な職人を思わせる。彼には周囲の声など関係なかったのだろうか。それとも陰ではその不評と不遇を悲しみ、傷ついていたのだろうか。

キンクスは泣ける名曲の宝庫だけれども、この曲はその筆頭に挙げられるものだ。ノスタルジックで切ない、哀愁あふれる名曲だ。

ストーンズやビートルズに比べたら圧倒的に知名度の低いキンクスだけど、こんな素晴らしい曲を「隠れた名曲」扱いしていてはいけない。これはロック史に残る名曲なのだ。

(Goro)