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Bad Company
“Bad Company” (1974)
元フリーのポール・ロジャース(Vo,G)とサイモン・カーク(Dr)、元モット・ザ・フープルのミック・ラルフズ(G)、元キング・クリムゾンのトッド・ロニング(B)という4人で結成された英国のスーパー・グループ、バッド・カンパニーが、1974年6月にリリースした1stアルバムだ。
フリーは米国ではシングル「オール・ライト・ナウ」が全米4位になっただけの一発屋に過ぎなかったが、本作は全米1位、全英3位、全世界で1,200万枚を売り上げる大ヒットアルバムとなった。
わかりやすいキャッチーな楽曲があり、ソウルやカントリーの要素も濃く、耳あたりの良いサウンドが聴きやすく、そのうえ当時米国で大人気だったレッド・ツェッペリンが設立したレーベル、スワン・ソング・レコードからのデビューだったことも少なからず影響したに違いない。
言わば「ツェッペリン印のハード・ロック・バンド」と来たら、当時のアメリカ人もイギリス人も飛びつかないわけはないのだ。もちろん日本人も。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 キャント・ゲット・イナフ
2 ロック・ステディー
3 レディ・フォー・ラヴ
4 ドント・レット・ミー・ダウン
SIDE B
1 バッド・カンパニー
2 ザ・ウェイ・アイ・チューズ
3 ムーヴィン・オン
4 シーガル
ハード・ロックにしては軽快な感じが新鮮でもあったA1「キャント・ゲット・イナフ」は全米5位、全英15位のヒットとなった。
バッド・カンバニーなんて名前だからもっと派手で悪ぶった感じなのかと思っていたら、スローテンポの曲のほうが多いのは、フリーのスタイルから大きく方針転換したわけではなかったようだ。
ミック・ラルフズがモット・ザ・フープル時代に書いて歌った抒情的な「レディ・フォー・ラヴ」や、ビートルズのカバーかと思った「ドント・レット・ミー・ダウン」などは、実に明快で親しみやすい楽曲だし、「ロック・ステディー」や「ムーヴィン・オン」のような期待を外さないカッコいいハード・ロックもちゃんとある。そして印象的なピアノと忘れ難いギターソロを持つ「バッド・カンパニー」は映画のエンドロールにでも使われそうな、ドラマチックな雰囲気のある名曲だ。
8曲34分と、良い具合の収録時間で、捨て曲なし、名曲・佳曲が無駄なく並んだ、キャッチーなだけでなく、滋味あふれる名盤だ。
ポール・ロジャースの歌声はフリーの頃よりもグッと成長してますますソウルフルに情緒豊かになったようだ。このアルバムの完成度の高さはまずこのシビれる声に拠るところが大きいように思う。歌もギターも彼が一人だけで演奏しているB4「シーガル」なんかもまた良い。
ジャケットはヒプノシスにしてはやけに手抜きだな、なんて最初は思ったが、いざ中身を好きになってしまうと、なかなかいいデザインのアートワークだなと思えてくるから不思議なものである。
↓ 全米5位、全英15位のヒットとなった代表曲「キャント・ゲット・イナフ」。
↓ テーマ曲というわけでもないだろうが、人気の高い名曲のひとつ「バッド・カンパニー」。
(Goro)