【100グレイテスト・ソングス】#93
The Rolling Stones – Harlem Shuffle
ミックがこっそりCBSとソロ・アルバムを作る契約を結び、ストーンズよりもそっちに夢中になっていることにキースが激怒し、2人の仲が史上最も険悪な時代に無理やり作られたアルバム『ダーティ・ワーク』からの1stシングル。
そんな状況で作られたアルバムなので全体の出来は良いわけがないが、この曲と「ワン・ヒット」だけはなんとか良いものになっていると思う。なんだか、舞台以外では10年間ひと言も口をきいていないにもかかわらず、寄席の漫才はきちんとこなして笑いを取るという、おぼん・こぼん師匠を思い出す。こういうのをプロフェッショナルというのか、なんだかよくわからないが。
この曲はソウル・デュオ、ボブ&アールが1963年に発表した曲のカバーだ。
横ノリのグルーヴがカッコいい。こういう曲は絶対に黒人アーティスト以外に書けない。
ストーンズ版も、原曲のアレンジや雰囲気をほとんど変えていない。そのままだ。
もともとキースがいつかこれをストーンズでやろうと考えていたらしく、ミックがソロにうつつを抜かしている隙に、アルバムに入れることに決めたそうだ。
歌詞は、最初から最後まで黒人女性といやらしいことをしているだけのものだ。
「ハーレム・シャッフルをやってくれ」と、黒人女性の得意技の実技を発注しているのだが、その実技がどんなものなのか、残念ながら黒人女性との経験がまったくないわたしにはわからない。
これだけがわたしの人生において悔やまれる点だ。
わたしの人生はまだ続いているけれども、この先にハーレム・シャッフルが待っているとはちょっと考えにくい。
いやはや。
哀しき、人生の黄昏である。