The Police – Every Little Thing She Does Is Magic
ザ・ポリスの4枚目のアルバム『ゴースト・イン・ザ・マシーン(Ghost in the Machine)』からのシングルで、全英1位、全米3位となった大ヒット曲。
それにしてもポリスは、6年間の活動期間で5枚のアルバムをリリースし、その間ずっとセールスを伸ばし続け、世界的成功を手にし、その頂点で解散してしまった、稀有なバンドだった。
ポリスの後期におけるサウンド面での変化には好き嫌いもあるだろうが、ちょうどロック・シーンの激動期の頃でもあり、変化は必然的なものだったろう。
この曲ではピアノの導入も印象的だ。
ポップなラヴソングだけれども、謎めいた雰囲気で始まり、はしゃぎまくるサビ、ピアノが生きてくるエンディングと、文字通りマジックのように次から次に変化し、それぞれ違う味が楽しめる。まあ、おじさんらしく言うなら、ラーメンと天津飯と餃子の三つの味が楽しめるサービス・セットみたいなものだ。
しかし作者のスティング以外のメンバーは、この曲を「甘すぎる」「ポリスの曲じゃない」と言い、嫌ったという。
サマーズとコープランドはレコーディングにも最小限しか参加せず、ほとんどの楽器をスティングとプロデューサーだけでアレンジし、録音を進めたという。
この一件が後の解散につながる、音楽的軋轢のひとつだったとも言われている。
それを知るとこのPVの、ヤケクソ気味にはしゃぐ二人と、それに対して困惑しているように見えるスティングの、妙にギクシャクした様子にも見えてくる。
(Goro)
コメント
毎回、質の高い記事ありがとうございます。
ポリスは「ソーロンリー」が聴きたかったのですが
田舎の販売店には二枚目のアルバム「白いレガッタ」しか置いてなく
仕方なく購入して聞いていました。
既にポリスは二枚目で通好みの音楽をやっていて「何か思っていたのと違うな―」と
あまり聞かなくなってしまいました。
大人になってからデビューアルバムから順を追って聞きはじめました。
全部いいアルバムなのですがな何かかしこまりすぎていて
結局ライブアルバムを聴いてしまいます。
サカモトさん、いつもありがとうございます!
そのサカモトさんのポリス評、距離感はわたしとたぶんほとんど同じです(記事内ではそんなふうには書きませんでしたが)。
わたしも実はリアルタイムでは一部のヒット曲が気に入っていたぐらいで、アルバムを聴いてもちょっと難解というか、あまりピンときませんでした。ただ、今聴き返してみると、優れたものであることだけはよくわかる。
ただ、もうすぐ記事を書くことになる最後のアルバムだけは、あらためて聴き直してすごく気に入っています。
記事楽しみにしています。
「シンクロニシティII」はライブだとめちゃくちゃスリリングで
かっこいいんですよね。
ポスト・パンクやオルタナの萌芽に近いサウンドなのに
絶対的に違うのは彼らの圧倒的な技量からくるもの、と思います。