The Byrds
My Back Pages (1967)
バーズのカバーによって「これって、こんなにいい曲だったんだ!」と初めて気づいたボブ・ディランの曲、というのがまあまあたくさんある。
わたしにとっては、中でもこの曲こそが、その大賞とも言えるカバーである。
正直、この原曲が収録された『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』をそれまで何度も聴いていたくせに、バーズのこのバージョンを初めて聴いたときに不覚にも「まさか!あの曲なのか!」と思ってしまった。「これって、こんなにいい曲だったんだ!」と。
わたしの耳が悪いだけなので、ボブ・ディラン氏には大変失礼な話には違いない。
心よりお詫び申し上げたいと思う。
「風に吹かれて」や「時代は変わる」「戦争の親玉」などプロテストソングや反戦歌を歌っていた数年前の自分を、善・悪をあまりに単純に批判した、凝り固まった思想の持ち主だったと振り返り、
あの頃の僕はまるで年寄りみたいで
今の僕はあの頃よりずっと若い
と歌った曲だ。
まあ、若いときというのはそんなものだ。
経験によらない、どこかで聞いた薄っぺらい知識だけをそのまま鵜呑みにしてしまうから、リアリティも何もない、口をパクパクしてるだけみたいな中身のない思想に取り憑かれる。
わたしもそうだった。
10代や20代の頃は反体制を気取ったフォークやロックが歌ってることを鵜呑みにし、新聞や思想書を熱心に読んだりして、反核や環境問題や社会問題や政治なんかにいっぱしの知識があるように錯覚していたものだ。
今はその頃の自分の知識がいかにペラッペラで、くだらないものかよくわかる。
その頃のわたしにとっての「世界」はまだ想像上のもので、現実の世界のことは何も知らなかったのだ。
それにしてもロジャー・マッギンの声はいいな。
クセの強い歌い方だが、わたしはなぜかこの声にとても癒されるのだ。
↓ ボブ・ディランのオリジナル。
↓ 真心ブラザーズによる日本語カバーもある。
(Goro)
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