【80年代ロックの快楽】
The Vaselines – Son of a Gun
The Vaselines – Son of a Gun
スコットランド出身のユージン・ケリーとフランシス・マッキーによる男女ユニット、ザ・ヴァセリンズは、先週のミート・パペッツと同様、ニルヴァーナに大きな影響を与えたバンドである。当時も今もほとんど無名であることも共通している。
この曲はヴァセリンズが1987年にリリースしたデビュー・シングルだ。
ヴァセリンズは結果、商業的な成功を得られず1990年に解散してしまう。
しかしその年、ニルヴァーナが英BBCラジオの名物番組《ジョン・ピール・セッション》でヴァセリンズのカバーを2曲披露し、それがニルヴァーナ大爆発中の1992年に発売された編集盤『インセスティサイド(Incesticide)』に収録されると、ヴァセリンズは突然世界的な注目を浴びることになる。わたしも、それを聴いてヴァセリンズのアルバムを買いに走ったひとりである。
この曲もニルヴァーナがカバーしたうちの1曲だ。
ノイジーなギターのオルタナイントロから始まり、ユージンの朴訥としたヴォーカル、田舎娘がお誕生日会で歌っているようなフランシスの純朴な歌声。
根はオルタナでありながら、ガチガチのロックからあえて脱線してみせるユーモアとポップに溢れたシンプルメロディー、ミスマッチ感と脱力感とちょっぴりの毒の風味がヴァセリンズの魅力である。
Son Of A Gun
↓ ニルヴァーナによるカバー。
Son Of A Gun (BBC John Peel Session 1990)