元祖オルタナ大王の復活 〜イギー・ポップ『ブリック・バイ・ブリック』(1990)【最強ロック名盤500】#17

Brick By Brick

⭐️⭐️⭐️

【最強ロック名盤500】#17
Iggy Pop
“Brick by Brick” (1990)

80年代は低調だったイギーだったが、90年代に入ってオルタナティヴ・ロックの台頭が注目を集めると、そのオリジネイターとしてのイギーとストゥージズへの再評価が高まりを見せた。

その抜群のタイミングでの、イギーの大復活作となったのが本作であり、1990年6月にリリースされた、10枚目のアルバムである。

【オリジナルCD収録曲】

1 ホーム
2 メイン・ストリート・アイズ
3 アイ・ウォント・クラップ・アウト
4 キャンディ
5 バット・タウン
6 ジ・アンディフィーティッド
7 ムーンライト・レディ
8 サムシング・ワイルド
9 ネオン・フォレスト
10 スターリー・ナイト
11 プッシー・パワー
12 マイ・ベイビー・ウォンツ・トゥ・ロックン・ロール
13 ブリック・バイ・ブリック

全編にアコースティック・ギターをかき鳴らすガシャガシャとした音が通奏し、重すぎず軽すぎず、アグレッシヴでリアリティのあるサウンドがいい。このアコギはすべてイギー自らが弾いているという。

「キャンディ」はB52’sのケイト・ピアソンとのデュエットで、かつてないほどの、ポップなイギーを聴かせる。そして、1、5、11、12にはガンズ&ローゼスのスラッシュとダフ・マッケイガンが参加していることでも話題となった。

しかしなんと言っても嬉しいのは、そのほぼすべてをイギーが書いた、充実した楽曲たちだ。激しいロックから内省的なバラードまで、耳に残るメロディ、口づさみたくなるようなメロディがとにかく多く、ストゥージズ時代のイギーとはまた違った一面を見せている。

プロデューサーは当時引っ張りだこだったプロデューサー、ドン・ウォズだ。見事にイギーを再生してみせた。わたしはイギーのソロ作品ではこれが一番好きだ。

全米アルバムチャートでは90位と相変わらず冴えない成績とはいえ、彼は現在までに20枚のソロ・アルバムを出しているけれども、100位以内に入ったのが4作だけなので、これは良い方の成績なのである。

↓ アルバムからの1stシングル「ホーム」には、イギーの大ファンだというガンズ・アンド・ローゼスのスラッシュとダフが参加し、MVにも出演している。

↓ B52’sのケイト・ピアソンとデュエットしたポップな曲調の「キャンディ」。全米28位まで上昇するヒットとなった。MVではイギーがアコギを弾くめずらしい姿が見れる。左利きなのも初めて知ったな。

(Goro)