Grateful Dead
Truckin’ (1970)
1967年にデビューしたグレイトフル・デッドは、当時アメリカ西海岸地方で流行していたヒッピー・ムーヴメントを背景にサイケデリック・ロックを演奏し、観客はマリファナを吸いながら楽しむというスタイルが定着していた。ちなみにマリファナは、カリフォルニア州では合法である。
そして1970年の『ワーキングマンズ・デッド』では、クロスビー、スティルス&ナッシュ的な、健康的でカントリー・フレーバーもある、爽やかな響きのアコースティック・ロックに方向転換した。
この曲は1970年11月にリリースされた通算6枚目のアルバム『アメリカン・ビューティー』からシングル・カットされた曲だ。
当時流行のクロスビー、スティルス&ナッシュ的な、健康的でカントリー・フレーバーもある、爽やかな響きのアコースティック・ロックだ。
このアルバムは、部屋で真剣に耳を傾けるとちょっと退屈だが、休日の午前中に田舎道をドライブしながら聴くとなかなか良い感じに楽しめるアルバムだと思う。
シングル「トラッキン」は全米64位という成績だったが、それでも彼らのシングルとしてはよく売れたほうだったのである。
彼らの凄いところは、一聴してわかるほど、セールス面を意識していないことだ。商売っ気のカケラも感じられない。ただただユルくてなんとなく気持ちの良い、地味だが目障りではない風景画のような音楽なのである。
グレイトフル・デッドには誰もが知るヒット曲もないし、レコードセールスはちっとも大したことがなかったにも関わらず、コンサートの収益では何年も連続して1位だった。
それほど彼らのライブは特別だったのだろう。なにしろ座ってるだけでマリファナが回ってくるのだから。
もちろんそれだけでなく、PAにはとんでもなくお金が掛けられていたそうだし、録音は自由、そして盛り上がれば何時間でもライヴを続けたという。